西崎病院ブログ

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自殺は予防できる

健康寿命をのばすために、一つ忘れてならないのが自殺だと思います。 15~39歳のまさに未来ある世代の死亡率一位は自殺です。 沖縄県の自殺死亡率は10万人当たり20人前後で、日本平均と同じくらいです。 平成26 年中における自殺の状況 内閣府… 続く

健康寿命をのばすために、一つ忘れてならないのが自殺だと思います。
15~39歳のまさに未来ある世代の死亡率一位は自殺です。

沖縄県の自殺死亡率は10万人当たり20人前後で、日本平均と同じくらいです。

平成26 年中における自殺の状況
内閣府自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課 資料より

ということで、自殺を防ぐために一般内科の医者に何ができるか少し勉強してみました。
WHOのリポートを自殺予防対策センターが翻訳しています。
「自殺を予防する 世界の優先課題」Preventing suicide; A global imperative
ikiru.ncnp.go.jp/ikiru-hp/pdf/topics_140905_1.pdf

一般的にWHOのリポートは先進国よりも発展途上国に重点を置いて書かれていますが(われわれ先進国の人間のバイアスかもしれませんが)、自殺予防に関しては、ハイテクは要りませんから大変勉強になりました。お金、設備よりも精神的なフォローが大事そうです。備忘録がてらまとめてみます。

●日本の自殺率は先進国で高い(悪い)方。
●過去の自殺企図は自殺の最大の危険因子
●自殺手段へのアクセス制限(農薬、銃器、特定の医薬品、橋に柵、ホームドアなど)は非常に効果的な自殺予防となる。
●自殺を口にする人は、おそらく援助や支援を求めている
⇒自殺を口にしたら見過ごさない!
●周囲の人がゲートキーパーとなり、治療につなげる戦略はエビデンスは少ないもののベストプラクティスである。
●高所得国は低中所得国より自殺死亡率が多少高い(10万あたり12.7対11.2人)
●世界的には男性の自殺死亡は女性の3倍だった。(国によってばらつきあり)
●2000年以降世界的には自殺率は急速に減少している。
●アメリカは全自殺死亡の46%が銃器!他の高所得国では4.5%。
●メディアによる責任ある自殺報道は自殺死亡率を減少させる。
●オンラインチャット、オンラインプログラムは効果的。
●電話によるヘルプラインも効果的。
●一般市民向けの意識向上のキャンペーンは、地域の態度に明確なインパクトがあり、自殺に対する悪い先入観(スティグマ)を減らす。
●自殺についてのスティグマが広がっているため自殺を考えている人々の多くは誰に話してよいかわからない。包み隠さず話すことは、自殺を考えている人に自殺関連行動をうながすよりよりはむしろ他の選択肢や決断を考え直す時間を与え、自殺を予防する。
●独居の高齢者にとっては、社会的孤立や孤独感は自殺の重要な寄与因子となりうる。
●うつ病とアルコール依存が最も関連する精神障害。自殺の生涯リスクは気分障害で4%、アルコール依存症で7%、双極性障害で8%、統合失調症で5%。
●慢性疼痛がある人は、自殺関連行動が2~3倍多い。これにはがん、糖尿病、HIVを含む。
●低レベルのセロトニンは、気分障害、統合失調症やパーソナリティ障害を有する患者の深刻な自殺企図と関連する。
●自殺の家族歴は自殺や自殺企図の強力な危険因子。
●人によっては、生き延びたかったとしても、例えば衝動的に農薬を飲んでなくなることもあるかもしれない。適切なタイミングで情緒的支援にアクセスすることで、自殺は予防できる可能性がある。
●自殺の危険の高まりはしばしば短期的で状況特有である。自殺念慮を再び抱くことはあるかもしれないが永遠ではなく、依然自殺念慮があった人や自殺企図をした人でも長生きすることができる。
●精神的、身体的に満たされた状態(well-being)を促進する健康的なライフスタイルに含まれるのは、定期的な運動やスポーツ、適度な睡眠と食事、アルコールや薬物の健康への影響への考慮、健康的な人間関係や社会とのかかわり、そして効果的なストレスマネジメントである。
●日本において、2009年以降自殺死亡数は減少した。若年者の自殺死亡率は上昇するも、中高年と高齢者の自殺死亡率が低下している。
●オーストラリアでは、より責任あるメディア報道のガイドラインを作成。費用は1人の自殺を予防するのに、2万7千豪ドル。

まとめ
●自殺は予防できる。
●医者は(精神科以外でも)重要なゲートキーパー。
●まずは話を聞く。
●沖縄なら南部医療センターなど精神科救急のある病院を。
その他  自殺総合対策窓口
沖縄県保健医療部 健康長寿課 精神保健班098-866-2209
●いろいろなセーフティネットに引っかかるように。

www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2814%2961213-7/abstract
School-based suicide prevention programmes: the SEYLE cluster-randomised, controlled trial

ikiru.ncnp.go.jp/
自殺予防総合対策センター(国立精神・神経医療研究センター内)

www.pref.okinawa.jp/gatekeeper/gatekeeper.html
ゲートキーパーとは

医療法人以和貴会 西崎病院
沖縄県糸満市字座波371-1
TEL(098)992-0055

謹賀新年

 今年も西崎病院 糖尿病・生活習慣病ブログを宜しくお願い致します。

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糖尿病・健康長寿教室シリーズ 腎臓に関係する検査データ(透析予防)

HbA1c、eGFR、血圧の3つが健康寿命や透析予防に重要なことがわかっています。 まずは、これらの自分の数字を覚えましょう。 ☆糖尿病関連 GLU血糖値(60~109mg/dl) 糖尿病で高値となり食事後の時間により正常者でも上昇します。… 続く

HbA1c、eGFR、血圧の3つが健康寿命や透析予防に重要なことがわかっています。
まずは、これらの自分の数字を覚えましょう。

☆糖尿病関連
GLU血糖値(60~109mg/dl)
糖尿病で高値となり食事後の時間により正常者でも上昇します。空腹時血糖が126以上は糖尿病型です。
HbA1cヘモグロビンエーワンシー (6,2%以下)
1~2ヶ月間の平均血糖の指標です完全な正常範囲は5.6%以下、6.5%以上が糖尿病型です。

☆腎機能関連
BUN尿素窒素 (8~22mg/dl)
CREクレアチニン(男性0,61~1,04mg/dl、女性0,47~0,79)

蛋白質の老廃物でいずれも腎臓から尿中へ排出されます。腎臓のろ過能力が低下すると上昇します。 
       
eGFR推定糸球体ろ過量  (80以上)
腎臓でろ過できる血液の量を推定したものです。若い時は100です。
腎臓の性能を%で表したものと考えると分かりやすいです。
(例:性能が半分だと50、10以下では透析になります)

☆血圧
130/80mmHg以下を目標にします。

高齢者の場合はまず140/90mmHgを目指し、血圧の下げすぎで身体に負担がないことを確認したうえで130/80mmHg以下へ慎重に血圧を下げていきます。
家庭血圧を測るのが一番大事です。病院の血圧よりも家の血圧が、寿命と関係していることが分かっています。

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