第3回西崎病院の活性化プロジェクト2024を開催いたしました。
第3回8月23日(金)24日(土)
講師:南眞司先生(南砺市民病院長、南砺市政策参与、(一社)なんと未来支援センター代表理事)
講演まとめ
南眞司先生には8月23日は西崎病院、24日は久米島で講演していただきました。南先生は2007年に南砺市民病院長に就任し、研修制度を立ち上げて医師不足を解消しました。そして、2014年に定年退職後には、南砺市の政策参与として地域包括ケアによるまちづくりに取り組んでいます。今回、元気で幸せに暮らし、愛着があり誇りに思うまちづくりについてご自身の経験からお話していただきました。講演の内容は箇条書きでまとめました。
テーマ:1.「安全で安心なまち」は、専門職と行政が中心に構築
2.「元気で幸せなまち」は、地域住民の思いやりでつくる
・2008年頃の医療崩壊で、住民の安全と安心には必要な医療が求められた。1)質の高い医療、特に高齢者医療、2)24時間356日受け入れる救急医療、3)24時間対応する在宅医療の充実。まずは、そのことに取り組み、その実現に至った。そしてその後は、地域の課題に取り組んできた。
・高齢入院者の99%は自宅に帰ることを希望していたが、結局66%のみが在宅復帰。この現実から高齢者の思いを叶える地域医療のあり方を考えて取り組んだ。
・多職種で、高齢者の尊厳の保持と自立に本人および家族の思いを確認し、問題解決型のカンファレンスを続けてきた。
・訪問診療・介護・リハビリ等で中重度者の在宅支援と看取りを充実させた。
・一人暮らしの患者さんの対応について、オランダでの研修をうけて、認知症の一人暮らしでも自宅で穏やかに暮らせることが分かった。そして、その取り組みに力を入れるようになった。
・地域共生社会(安心して幸せに暮らせるまち)を地域包括ケアシステム(町ぐるみで助け合う仕組み)で構築。南砺市では安心・安全の基盤はできてきたが、地域で助け合う幸せの構築は現在進行形である。
・南砺市では、70代で、同居人がいる女性の自殺率が全国に比べて3倍も高かった。同居者がいても孤食の人は高リスクであった。
・介護保険のニーズ調査では、介護度が高いほど不幸せ感が強くなっている。また、日本では社会的孤立がOECDの国のなかではトップである。
・人生の誕生期と人生の終末期は、共に重度要介護状態である。また、誕生期は生きがいになる介護で、終末期は誰かに迷惑がかける介護? いや、子供を慈しみ育て親になる、子供に介護されることが親の最期の子育てである。
・生老病死を地域住民の手に戻すには、時間と縁の力が必要である。
・小規模多機能自治の手法による住民自治の再構築を開始した。住民自治の再構築で、住民同士が助け合いつながり、元気で幸せに暮らせるまちづくりを目指した。
・お世話される人の行儀作法を良くする働きかけ、「世話を受けるのは当然」や「迷惑をかけたくない」でなく、弱くなった自分を受け入れて「お世話になります、ありがとう」という文化をつくる。
・世話をする人は健康寿命が長いという調査報告がある。「お互い様」「情けは人のためならず」と「役割のない人はいない」ことが科学的に証明された。
・現在は、「なんと未来支援センター」、「南砺幸せ未来基金」の「協働のまちづくり支援センター」を設置して地域での取り組みを支援している。
・若い医師への心構えと行動指針:1.夢と志を持つ事、2.覚悟と努力をする事、3.謙虚さと感謝の気持ちを持ち続ける事、4.判断、行動の基準は利他である事。
・ピンチはチャンスである。
・高齢者養生訓:
第一「病気を予防し悪化を防ごう」
第二「体と頭を元気にしよう」
第三「社会貢献し、元気で幸せに生きよう」
第四「家族介護のあり方を見直し、家族の絆を結ぼう」
第五「近所や地区の方と交流し、地域の絆を結ぼう」
第六「尊厳の保持と自立へ、生き方を決め、伝え、歩もう」
院長 山城清二
南先生の著書