西崎病院ブログ

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南部糖尿病ネットワーク 糖尿病 血糖値 西崎病院 西﨑病院 糸満市座波371-1 098-992-0055 講演会

2019/07/11 第93回南部糖尿病ネットワーク

「高血糖緊急症を考える」

国立病院機構熊本医療センター 糖尿病内分泌内科

西川武志先生

西川先生は、私が熊本大学での師匠で、ミトコンドリアと糖尿病の研究で有名です。今回は、糖尿病ケトアシドーシスや(DKA)や、高血糖高浸透圧症候群(HHS)という、実臨床に即したお話をしていただきました。教科書やガイドラインに書かれていることから、日本でまだエビデンスがなく、今調査している領域の話まで、とても勉強になりました。

 

復習として、教科書的な内容を備忘録として以下にまとめてみます。

 

  1. 高血糖緊急症(hyperglycemic crisis)の病態は?
    1. 糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンの絶対的不足が原因。
    2. 高血糖高浸透圧症候群は、インスリンの相対的不足が原因。

 

  1. 糖尿病ケトアシドーシスの診断基準2.アシドーシス(pH7.3未満、HCO3 18未満)静脈血ならHCO3 15未満。
  2. 3,ケトーシス(βヒドロキシ酪酸の増加)
  3. 1.高血糖(250以上)

 

  1. 高血糖高浸透圧症候群の診断基準
  1. 高血糖600以上。
  2. 有効浸透圧320以上
  3. Hは7.3以上、 HCO3は18~20

※血漿浸透圧と有効浸透圧は違う!

  • 血漿浸透圧≒2×NaGlu/18BUN/2.8

2つの溶液間での相対的な浸透圧活性、水の移動を起こす力を有効浸透圧、または張度という。尿素やアルコールは浸透圧に寄与しうるが、細胞膜を自由に通過しうるので、細胞内液と細胞外液感の浸透圧さを生じさせない。(静脈経腸栄養 Vol.24 No.3 2009 27769))

  • 有効浸透圧≒2×NaGlu/18  ←血漿浸透圧からBUNがなくなる。

ついでに

※偽性低ナトリウム血症

血糖値の上昇100に対してNaは+2として考える。ざっくりですが。補正しましょう。

4.DKAHHSが混ざったような症例もあるようだ。ジョスリンにかかれている。

5.ソフトドリンクケトアシドーシス:2型糖尿病患者が糖を含むドリンクで、血糖がどんどん上がる悪循環から、著しい高血糖とケトアシドーシスをきたす病態。欧米白人での症例報告は殆ど見られない。

 

6.DKAは胃腸症状が出るので、腸炎などと初診されてしまうことがある。体重減少や血糖チェックをするとわかる。

 

7.Ketosis-prone type3 diabetes(ケトーシスになりやすい2型糖尿病)KPDが、意外にいるかもしれない。

 

8.正常血糖ケトアシドーシス:血糖値が300以下で、HCO3 10以下の状態。軽いケトアシドーシスというイメージ。SGLT2阻害薬によるDKAはこれの特徴を持つことが多い。2型でもなるし、1型でもなる。

SGLTによる正常血糖DKAは内服開始すぐに出ることが多い。SGLTを内服中は、尿ケトンをチェックし、陽性の場合はアシドーシスになっていないかチェックすべき。特に全身倦怠や悪心嘔吐がある場合は注意。

 

9.抗PD-1抗体薬による劇症1型糖尿病に注意。あっという間に上がるので、血糖値が高いのにA1Cが低いといって油断しない!入院して様子見ても良い。

 

10.高血糖緊急症は精神科疾患合併症例が多い。

高血糖緊急症の意識レベルは、pHよりも血漿浸透圧と密接な関連がある。

発症時の血漿浸透圧が320未満なら他の意識障害の原因を考えるべきである、とジョスリンに書かれている。

 

11.高血糖緊急症の合併症に血栓症があるようだ(これは教科書にまだ書かれていない?)。脳梗塞はもちろん、下肢の動脈血栓、静脈血栓注意。下肢痛や血小板減少、Dダイマーのモニターを。

勉強会のあとに、南部の糖尿病専門の先生方を交えて食事会をしました。医療の話はもちろん、ワインや燻製、絵の話で大いに盛り上がりました。オレンジワイン美味しかった!

 

第19回 医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会合同研究発表会

11月26日(日)に第19回 医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会合同研究発表会を開催しました。

医療法人以和貴会、社会福祉法人以和貴会では、医療の知識や技術の向上、各医療福祉の現場職員の情報交換、士気の向上を目的に研究発表会を毎年催しています。

セッション1 リハビリテーション
セッション2 事例報告
セッション3 調査・研究・業務改善

特別講演 テーマ:「ワーク・ライフ・バランスについて考えよう」
講師:政策研究事業本部 社会政策部 共生社会室
    塚田 聡氏  

 
      
法人6施設から17演題の発表がありました。
日曜日の開催ではありますが多くの職員、夜勤明けの職員もかけつけ、関心の高さが伺えました。院内研究発表会では、普段中々知り得ない他部署、関連施設のの取り組みを知ることができ、とても勉強になります。

今後も以和貴会グループは、地域の皆様に愛され、必要とされるよう、取り組んでいきたいと思っております。

 

FreeStyleリブレまとめ(2017/02/20現在)

2/26にすこしプレゼンをすることになったので、リブレの症例を出そうと思います。
勉強がてらまとめてみました。
現在のところ自費で導入をしています。はやく保険適応ができるようになって欲しい。

Flash Glucose Monitoring(FGM)=FreeStyleリブレTM(アボットジャパン)
•FreeStyleリブレ(フリースタイルリブレ)
–指先穿刺なしにいつでも血糖値が測定できるシステム
–上腕背部に装着したセンサーにリーダーをかざすと現在の血糖値
(正確には間質液のグルコース濃度)が分かる。(以下血糖値と表記)
–センサー内に記憶された血糖を読み込み、リーダーにグラフとして表されるため、持続血糖測定器のような使用法が可能。
–センサーは14日間使用可能。
–指先穿刺での較正が不要。(測定範囲 40~500mg/dl)

FreeStyleリブレのコツやクセ、注意点(以下は個人的な意見込)
•まだ保険適応なので自費。
•透析、妊婦、6歳未満は禁忌。(データがない)
•MRI(わかる)、CT(!)、X線(!!)の時には外す。(データがない)
•8時間ごとにリーダーをかざさないと24時間血糖のグラフが途切れてしまう。特に夜間注意。(センサーのメモリが8時間まで)
•指先穿刺の血糖値より10分ほど遅れる。
皮下組織間質液のブドウ糖濃度の変動は中枢神経における変動をラグなく反映するとの報告も。
•初日は誤差が大きい。低めに出る?(間質液がなじむまで数日)
•センサー値を過大評価しない。おかしいときは指先穿刺を!!
•皮膚のかぶれはiPro2より少ないよう。まだ夏場は不明。

個人的な感想
1型糖尿病(+インスリン依存2型)に関して
•血糖値の推移が把握できるが、コントロールは良くならない!?(参考資料参照)
•→良くするには、カーボカウントや追加打ちが必要?
•運動や運転、睡眠前などの血糖値と傾向(今後下がりそうなのか上がりそうなのか)は簡便にチェックできる。
–低血糖は減りそう。
•本当は小児・妊娠中の糖尿病こそ、使いたい!

以下参考資料・文献

Flash Glucose-Sensing Technology as a Replacement for Blood Glucose Monitoring for the Management of Insulin-Treated Type 2 Diabetes: a Multicenter, Open-Label Randomized Controlled Trial
•強化インスリン療法の2型糖尿病224人を
FGM群とSMBG群に割り付け6か月フォロー
•無作為、非盲検化
•主要評価項目はHbA1c
•結果
–HbA1cは有意差なし、65歳以下は差あり。
–低血糖はFGM群はSMBG群に比べてほぼ半減
–満足度は有意に高値
–Diabetes Therapy February 2017, Volume 8, Issue 1, pp 55–73
•アボットの資金提供あり

Novel glucose-sensing technology and hypoglycaemia intype 1 diabetes: a multicentre, non-masked, randomized controlled trial
•1型糖尿病241人をにFGM群とSMBG群に分け6か月フォロー
•無作為、非盲検化
•主要評価項目は低血糖頻度(70mg/dl未満)
•結果
–1日を通してFGM群が低血糖が有意に減少。(SMBG群の半分近くまで減少)
–HbA1cは有意差なし
–満足度は有意に高値
–Lancet. 2016 Nov 5;388(10057):2254-2263.
•アボットの資金提供あり

日本先進糖尿病治療研究会によるCSII およびCGM に関するステートメント糖尿病57(6):403~415,2014
1)CSII 時の活用法
•CGM を用いることで以下のようなCSII 治療におけるインスリン注入量の設定が
可能となる.
•a)無自覚性低血糖の検出
•b)暁現象の存在やその開始点の検出
–時刻ごとに細かく基礎インスリン注入速度の調節を行うことができる.
•c)運動や仕事など異なる生活強度による血糖変動の検出
–異なった生活運動強度に対する基礎注入の変更,一時基礎注入レートの調節が
行える.
•d)食事時間・内容ごとに異なる血糖変動の検出
–追加インスリン量そのものの調節だけではなく,例えば高脂肪食にスクエアボーラスを用い,一時的に基礎インスリン注入速度を上げる,といった食事内容・組成に
対する追加注入パターンの調節が可能となる.
•e)患者説明への応用
–患者に実測した1 日の血糖変動パターンを図示することで理解が得られやすく,
患者教育および患者のモチベーション向上にも有用である.
2)MDI 時におけるCGM の活用法
MDI を行っている患者でも,CSII 療法の場合と同様に,以下のことが明らかになる.
a)基礎インスリン注射と夜間の低血糖,高血糖さらには暁現象の有無.
b)食事とインスリン注射のタイミング,血糖値の関連,インスリンの種類と血糖値の関連.
c)運動と血糖値変動の関連.
d)仕事や身体活動と血糖値の関連.
e)生活パターンの異なる日での血糖値の違い.
f)感染症と血糖値の関係.
g)血糖値に大きく影響しているインスリン注射手技の不確実性の発見.

この中で最も汎用されるのは,夜間の血糖をモニターし,基礎インスリンの調整,あるいは食後の血糖変動を見て追加インスリンの調整,これらの2 点である.インスリン依存
状態の症例に対する特効型インスリンアナログなどによる基礎補償においては,
0―3 時頃までの低血糖や,3 時から起床時間までの暁現象による血糖上昇が
評価できることである.また,CGM中にインスリン注射を行い,比較することによりその
インスリン手技の評価もできる.

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