西崎病院ブログ

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西崎病院の活性化プロジェクト2024 第2回8月2日(金)堀田聰子先生による講演:地域共生とはなにか~政策的潮流と支援のかたち~

 

第2回西崎病院の活性化プロジェクト2024を開催いたしました。

テーマ:地域共生とはなにか~政策的潮流と支援のかたち~

講師:慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授 堀田聰子先生

堀田聰子先生には82日は西崎病院、3日は久米島で講演していただきました。

学び続けるネットワーク、個々のつながりが大事であることを再認識しました。講演の内容を箇条書きでまとめました。     

・介護保険創設前の老人保健・医療政策:1960年代(高齢化率5.7%)老人福祉法制定、1970年代(高齢化率7.1%)老人医療費無料化、1980年代(高齢化率9.1%)老人保健法制定、ゴールドプラン、2000年代(高齢化率17.3%)介護保険法施行

・介護保険制度の理念:第一条 尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように制定(理念)。第四条 国民は常に健康の保持増進に努める、有する能力の維持向上に努める(義務

自立とは何か。自分でできる、きめる等の能力主義でいいのか。すると、年を取ると自己効力感が下がる。本当は、“自立とは依存先を増やすこと”(東大熊谷先生)ではないのか。

・高齢化の状況の地域差:大都市部では75歳以上の人口が増える。すると、病院に通えなくなり、介護が必要になる人が増える。それに対応するマンパワーが不足する。

地域包括ケアシステムの構築2003に国レベルで言われるようになった。2025年を目途に住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように。

・地域包括ケアの2つのコンセプト:①地域を基盤とするケア(community-based care)、②統合ケア(integrated care)。地域における最適を地域が自ら選ぶことが重要。

医療モデルから生活モデル化へ。

・現代社会の暗い側面:社会的孤立の状況がOECDの中で日本が一番高い。複合化・複雑化する生活課題(生活困窮者の約6割が複合的課題を抱え、16%5つ以上の課題を持っている)。地域の関係性の低下が指摘されている。子供が声を上げにくい(ヤングケアラーの問題)。自殺者が増えており、医療が最後の絆になっている場合が多い。生活し難い世の中になってきている。

地域包括ケアシステムから地域共生社会へ:定年後の活動が低下、周囲には耕作放棄地、管理放棄された森林、空き家/空き店舗、団地の高齢化など課題。そこで、地域共生社会が求められている。介護予防以外にもう一つの予防、地域で「つながる」こと、その強化が必要。

事例:東京太田区の“みま~も”(高齢者見守りネットワーク)。 牧田総合病院の地域包括センターが始まった。根っこは、学び続ける会であった。そこからいろいろは取り組みが始まった。そして、つながるネットワークができた。その他の事例では、東近江市、久留米市等がある。(インドのケララモデルは、久米島の講演の時に紹介)

幸せの4つの因子:個人の在り方(①やってみよう、②なんとかなる、③ありのままに)、関係性の質(④ありがとう(つながりと感謝の因子))

*なんくるなるいさ~:沖縄でよく使われる。本当の意味は、“まくとーそーけーなんくるないさ”で、“正しいことを、誠のことをしていればなんとかなるさ”という意味である。つまり、人事を尽くして天命を待つという意味に近い。

                       院長 山城清二

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