西崎病院ブログ

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勉強会 地域共生 糸満市 西崎病院 西﨑病院 糸満市座波371-1 098-992-0055 講演会

西崎病院の活性化プロジェクト2024 第2回8月2日(金)堀田聰子先生による講演:地域共生とはなにか~政策的潮流と支援のかたち~

 

第2回西崎病院の活性化プロジェクト2024を開催いたしました。

テーマ:地域共生とはなにか~政策的潮流と支援のかたち~

講師:慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授 堀田聰子先生

堀田聰子先生には82日は西崎病院、3日は久米島で講演していただきました。

学び続けるネットワーク、個々のつながりが大事であることを再認識しました。講演の内容を箇条書きでまとめました。     

・介護保険創設前の老人保健・医療政策:1960年代(高齢化率5.7%)老人福祉法制定、1970年代(高齢化率7.1%)老人医療費無料化、1980年代(高齢化率9.1%)老人保健法制定、ゴールドプラン、2000年代(高齢化率17.3%)介護保険法施行

・介護保険制度の理念:第一条 尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように制定(理念)。第四条 国民は常に健康の保持増進に努める、有する能力の維持向上に努める(義務

自立とは何か。自分でできる、きめる等の能力主義でいいのか。すると、年を取ると自己効力感が下がる。本当は、“自立とは依存先を増やすこと”(東大熊谷先生)ではないのか。

・高齢化の状況の地域差:大都市部では75歳以上の人口が増える。すると、病院に通えなくなり、介護が必要になる人が増える。それに対応するマンパワーが不足する。

地域包括ケアシステムの構築2003に国レベルで言われるようになった。2025年を目途に住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように。

・地域包括ケアの2つのコンセプト:①地域を基盤とするケア(community-based care)、②統合ケア(integrated care)。地域における最適を地域が自ら選ぶことが重要。

医療モデルから生活モデル化へ。

・現代社会の暗い側面:社会的孤立の状況がOECDの中で日本が一番高い。複合化・複雑化する生活課題(生活困窮者の約6割が複合的課題を抱え、16%5つ以上の課題を持っている)。地域の関係性の低下が指摘されている。子供が声を上げにくい(ヤングケアラーの問題)。自殺者が増えており、医療が最後の絆になっている場合が多い。生活し難い世の中になってきている。

地域包括ケアシステムから地域共生社会へ:定年後の活動が低下、周囲には耕作放棄地、管理放棄された森林、空き家/空き店舗、団地の高齢化など課題。そこで、地域共生社会が求められている。介護予防以外にもう一つの予防、地域で「つながる」こと、その強化が必要。

事例:東京太田区の“みま~も”(高齢者見守りネットワーク)。 牧田総合病院の地域包括センターが始まった。根っこは、学び続ける会であった。そこからいろいろは取り組みが始まった。そして、つながるネットワークができた。その他の事例では、東近江市、久留米市等がある。(インドのケララモデルは、久米島の講演の時に紹介)

幸せの4つの因子:個人の在り方(①やってみよう、②なんとかなる、③ありのままに)、関係性の質(④ありがとう(つながりと感謝の因子))

*なんくるなるいさ~:沖縄でよく使われる。本当の意味は、“まくとーそーけーなんくるないさ”で、“正しいことを、誠のことをしていればなんとかなるさ”という意味である。つまり、人事を尽くして天命を待つという意味に近い。

                       院長 山城清二

2019/07/11 第93回南部糖尿病ネットワーク

「高血糖緊急症を考える」

国立病院機構熊本医療センター 糖尿病内分泌内科

西川武志先生

西川先生は、私が熊本大学での師匠で、ミトコンドリアと糖尿病の研究で有名です。今回は、糖尿病ケトアシドーシスや(DKA)や、高血糖高浸透圧症候群(HHS)という、実臨床に即したお話をしていただきました。教科書やガイドラインに書かれていることから、日本でまだエビデンスがなく、今調査している領域の話まで、とても勉強になりました。

 

復習として、教科書的な内容を備忘録として以下にまとめてみます。

 

  1. 高血糖緊急症(hyperglycemic crisis)の病態は?
    1. 糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンの絶対的不足が原因。
    2. 高血糖高浸透圧症候群は、インスリンの相対的不足が原因。

 

  1. 糖尿病ケトアシドーシスの診断基準2.アシドーシス(pH7.3未満、HCO3 18未満)静脈血ならHCO3 15未満。
  2. 3,ケトーシス(βヒドロキシ酪酸の増加)
  3. 1.高血糖(250以上)

 

  1. 高血糖高浸透圧症候群の診断基準
  1. 高血糖600以上。
  2. 有効浸透圧320以上
  3. Hは7.3以上、 HCO3は18~20

※血漿浸透圧と有効浸透圧は違う!

  • 血漿浸透圧≒2×NaGlu/18BUN/2.8

2つの溶液間での相対的な浸透圧活性、水の移動を起こす力を有効浸透圧、または張度という。尿素やアルコールは浸透圧に寄与しうるが、細胞膜を自由に通過しうるので、細胞内液と細胞外液感の浸透圧さを生じさせない。(静脈経腸栄養 Vol.24 No.3 2009 27769))

  • 有効浸透圧≒2×NaGlu/18  ←血漿浸透圧からBUNがなくなる。

ついでに

※偽性低ナトリウム血症

血糖値の上昇100に対してNaは+2として考える。ざっくりですが。補正しましょう。

4.DKAHHSが混ざったような症例もあるようだ。ジョスリンにかかれている。

5.ソフトドリンクケトアシドーシス:2型糖尿病患者が糖を含むドリンクで、血糖がどんどん上がる悪循環から、著しい高血糖とケトアシドーシスをきたす病態。欧米白人での症例報告は殆ど見られない。

 

6.DKAは胃腸症状が出るので、腸炎などと初診されてしまうことがある。体重減少や血糖チェックをするとわかる。

 

7.Ketosis-prone type3 diabetes(ケトーシスになりやすい2型糖尿病)KPDが、意外にいるかもしれない。

 

8.正常血糖ケトアシドーシス:血糖値が300以下で、HCO3 10以下の状態。軽いケトアシドーシスというイメージ。SGLT2阻害薬によるDKAはこれの特徴を持つことが多い。2型でもなるし、1型でもなる。

SGLTによる正常血糖DKAは内服開始すぐに出ることが多い。SGLTを内服中は、尿ケトンをチェックし、陽性の場合はアシドーシスになっていないかチェックすべき。特に全身倦怠や悪心嘔吐がある場合は注意。

 

9.抗PD-1抗体薬による劇症1型糖尿病に注意。あっという間に上がるので、血糖値が高いのにA1Cが低いといって油断しない!入院して様子見ても良い。

 

10.高血糖緊急症は精神科疾患合併症例が多い。

高血糖緊急症の意識レベルは、pHよりも血漿浸透圧と密接な関連がある。

発症時の血漿浸透圧が320未満なら他の意識障害の原因を考えるべきである、とジョスリンに書かれている。

 

11.高血糖緊急症の合併症に血栓症があるようだ(これは教科書にまだ書かれていない?)。脳梗塞はもちろん、下肢の動脈血栓、静脈血栓注意。下肢痛や血小板減少、Dダイマーのモニターを。

勉強会のあとに、南部の糖尿病専門の先生方を交えて食事会をしました。医療の話はもちろん、ワインや燻製、絵の話で大いに盛り上がりました。オレンジワイン美味しかった!

 

第19回 医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会合同研究発表会

11月26日(日)に第19回 医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会合同研究発表会を開催しました。

医療法人以和貴会、社会福祉法人以和貴会では、医療の知識や技術の向上、各医療福祉の現場職員の情報交換、士気の向上を目的に研究発表会を毎年催しています。

セッション1 リハビリテーション
セッション2 事例報告
セッション3 調査・研究・業務改善

特別講演 テーマ:「ワーク・ライフ・バランスについて考えよう」
講師:政策研究事業本部 社会政策部 共生社会室
    塚田 聡氏  

 
      
法人6施設から17演題の発表がありました。
日曜日の開催ではありますが多くの職員、夜勤明けの職員もかけつけ、関心の高さが伺えました。院内研究発表会では、普段中々知り得ない他部署、関連施設のの取り組みを知ることができ、とても勉強になります。

今後も以和貴会グループは、地域の皆様に愛され、必要とされるよう、取り組んでいきたいと思っております。

 

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