西崎病院ブログ

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糖尿病とがん

2016年3月号の糖尿病学会誌に「糖尿病と癌に関する委員会報告 第2報」があったのでまとめてみます。 まずは第1報の復習から www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&#0… 続く

2016年3月号の糖尿病学会誌に「糖尿病と癌に関する委員会報告 第2報」があったのでまとめてみます。

まずは第1報の復習から
www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=43
●日本の疫学データでは、大腸がん、肝臓がん、すい臓がんのリスク増加、前立腺がんのリスク低下がみられる。これはADAの報告とほぼ一致しているようです。(前立腺はやはりリスク低下)
●糖尿病によるがん発生促進の目感ずむとして高インスリン血症、高血糖、炎症などが考えられる。
●糖尿病患者における食事療法、運動療法、禁煙、節酒はがんリスク減少につながる可能性がある。
●メトホルミン使用とがんリスク低下や、インスリン、ピオグリタゾン使用とがんリスク増加などの糖尿病薬と癌の関連はまだはっきりしていない。

第2報
www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/3/59_174/_article/-char/ja/
糖尿病ではがんが増えるようだ、では糖尿病を治療したらがんは減るのか?というのが第2報のテーマのようです。治療する薬によっても確率は変わってくるのかもしれません。メトホルミンやピオグリタゾンではよく話題に出ます。
しかし今のところの結論は、
●糖尿病患者で、血糖管理をすることで癌の確立が減るかどうかははっきりしない。
だそうです。

がん予防は、糖尿病かどうかに関わらず、検便、胃カメラ(ピロリチェック)、子宮頸、乳がん検診など、市町村でされているがん検診をやることが費用対効果のかなったものだと思います。病気のかかりやすさは家族歴などもありますから、その辺を考慮して他のスクリーニングを追加するのが良いでしょう。

西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

※画像はお借りしました

院内のインスリンの針を変更しました

3月より院内で使用するインスリンの針を変更しました。 インスリンの針は現在3社より発売されています。今回変更したのは医療安全上の理由からです。インスリンの針は普通の針と違って少しおもちゃのように見えます。またインスリンを打つたびに装着、取り… 続く

3月より院内で使用するインスリンの針を変更しました。
インスリンの針は現在3社より発売されています。今回変更したのは医療安全上の理由からです。インスリンの針は普通の針と違って少しおもちゃのように見えます。またインスリンを打つたびに装着、取り外しをしなければなりません。その時に机の上に置きっぱなしにしたり、落としたりし、針刺し事故につながることがありました。
以前のインスリン針は色が透明で、今回採用した針は白色です。わずかですが、白色の針の方が比較的目立つように思えます。

病棟の机の上に置いたときです。手前が今までの針、奥が今回採用の針です。

病院の床に置いたとき。

3社のうち2社は透明で、白色のメーカーは1社でした。針の太さも少し細くなります。

西﨑病院  糸満市座波371-1
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Dialysis therapy, 2014 year in review

日本透析医学会雑誌3月号に透析関連のレビューがあったので、糖尿病などの関連部野を勉強ついでにまとめてみます。 糖尿病について ●2014年のメタ解析ではベースラインHbA1c 8.5%以上では透析患者の死亡リスク増(HR1.14 1.09-… 続く

日本透析医学会雑誌3月号に透析関連のレビューがあったので、糖尿病などの関連部野を勉強ついでにまとめてみます。

糖尿病について
●2014年のメタ解析ではベースラインHbA1c 8.5%以上では透析患者の死亡リスク増(HR1.14 1.09-1.19)。
●新規透析導入患者ではHbA1c5.4%未満の低値も死亡リスク増(HR1.29, 1.23-1.36)。

ただし、HbA1cは貧血やエリスロポエチン製剤の影響を受けるため、参考程度にしましょうとガイドラインには記述されています。

※2013年血液透析患者の糖尿病治療ガイド
1. 透析開始前の随時血糖値(透析前血糖値)およびグリコアルブミン(glycated albumin:GA)値を血糖コントロール指標として推奨する.
2. ヘモグロビンA1c(HbA1c)値は貧血や赤血球造血刺激因子製剤の影響により低下し,透析患者の血糖コントロール状態を正しく反映しないため参考程度に用いる.
●目標血糖は透析前で(食後2時間として)180~200、目標GAは20%未満。ただし低血糖がある患者ではGA24%未満。(いずれも暫定値)

透析療法と栄養
●カルニチンは注射製剤にて吸収効率改善。
●貧血、左室肥大の改善の報告有り。ただし効果は症例によって大きく異なる。
●メタ解析ではLDLとCRPの減少だけ有意差。貧血の効果ははっきりせず。

貧血領域
●75歳未満ではHgb10~11g/dlの患者に比べてそれ以下では死亡リスク増(9~10ではHR1.42、9未満はHR3.41 )。
●75歳以上ではHgb9未満で初めて死亡リスク増(HR1.95)。
●糖尿病透析患者では年齢に関わらずHgb9未満で死亡リスク増(HR4.60!!)
●ただし、個人の違いも大きく、柔軟にHgb値を管理しましょう。
●高齢CKD患者では貧血治療が必ずしもQOLの改善につながらないかも。

透析患者の心房細動とワルファリン
●日本のガイドラインでは、「透析患者の心房細動にワルファリンは安易にするべきではない。するならINR<2.0に」
●結局よく分からない。

感染症
●血流感染は透析開始直後に多く、年月が経つにつれて減少。
●起因菌は黄色ブドウ球菌43.8%、大腸菌12.6%。一般人と逆。
●MRSAの鼻腔保菌者はムピロシン塗布でMRSAによるカテ刺入部感染が87%減少、MRSAによる菌血症が82%減少(メタ解析)。
●インフルエンザワクチンは全死亡を32%減少、肺炎による死亡を14%減少(メタ解析)。インフル予防注射は打った方が得。
●C型肝炎は透析患者でも内服で完治できるようになった。治療しましょう。

感想
糖尿病の治療も大事ですが、それより貧血をきちんとコントロール(HRが貧血の方が大)。

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