糖尿病などの生活習慣病は、薬はかなり以前より良くなりました。それでも生活習慣の改善が一番であることは変わりません。しかし生活習慣を変えるのはとても大変です。慢性腎臓病の生活・食事指導マニュアル2014に患者さんへの心理的サポートの仕方が載っているので、勉強がてらまとめてみました。
改善への大まかな順番
1.信頼関係を築く。
2.患者を理解する。
3.目標を具体的につくり、達成しやすいような環境を整える。
4.良い行動を承認し、やる気に火をつける。
1.信頼関係を築く。
初診時は自己紹介。わかりやすく。プライバシーに気を遣う。
面接に集中するために、プライバーシーが保たれる整理整頓された空間が理想的。机の配置は図のようにすると真正面よりは互いにリラックスできる。
2.患者を理解する。
患者からいろいろな情報を聞く。話の流れに逆らわず。脱線したら「ところで」と話を元に戻す。抽象的な表現は「例えば?」とか「具体的には?」と聞いてみる。
○聞くことは、身体面、行動面、心理社会面の3つ。
太っているのは食べ過ぎ、などの思い込みをすて、その人の行動、努力、良い面に注目する(後でそれを伸ばす)。
「それは大変でしたね」などの共感が自然に出るようにする。
3.目標を具体的につくり、達成しやすいような環境を整える。
減塩、減量などの必要性と方法の説明だけでは実行しにくい。何をどうするか具体的に決める。行動目標は「3ヶ月後に体重を3%減らす」「塩分摂取量を1日6gに減らす」など。それを具体的に「間食は1日1個まで」「汁物は週に3回まで」などと決めてみる。
、最低4週間程度の一定期間は意識的に繰り返すようにする。面接の刺激の有効期間はほぼ2週間程度。理想はそれ以前に「どんな様子か」を把握したい。
○努力すれば7~8割は実行できそうなことを、1~2項目に絞り込む。
つまづきやすい状況にも対応方法を考える。お腹がすいたら「10回スクワット→交感神経活性化で食欲低下」「3分歯磨きして歯もきれいに、お腹もすっきりに」など。
4.良い行動を承認し、やる気に火をつける。
やる気が起こるのは、患者がその行動を実行できると思い、実行したら良い結果が期待できるとき。「運動したら眠れるようになった」や、合併症進行予防のために、「早く取りかかるほど課題は少なくてすむ」というプラス面を強調。「このままだと~~になりますよ」という脅しよりはるかに良い。
ノートや体重記録など、セルフモニタリングは確実かつ効果的な自己コントロール法であうる事を説明する。出来ないことや疑問質問も記録があれば書ける。
面接で決めたことは、なるべく今日からすぐに実行するように促す。まずは取りかかることが重要!。
参考文献 日本腎臓学会 「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル ~栄養指導実践編」
ネット上で公開されています。CKDガイドラインをベースに、禁煙なども含めた具体的な指導方法が載っており、とても参考になります。
(慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル ~栄養指導実践編 資料 CKD管理ノートより)
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