大規模災害時、病院はどうなる? ~その日のためにBCP~
2024年12月8日の第24回以和貴会合同研究発表会にて、土屋洋之先生(南部医療センター・こども医療センター救急科副部長)に特別講演をしていただきました。2011年の東日本大震災時の石巻赤十字病院で経験等、災害医療について大変貴重な講演でした。特に講演の中での災害時の基本的な考え方は職員全員が共有すべき内容でしたので、箇条書きにまとめてみました。
災害医療の実践の7つ基本:CSCATTT
管理・運営
C:Command and Control(指揮と連携)
S:Safety(安全確保)
C:Communication(情報収集伝達)
A:Assessment(評価)
医療支援
T:Triage(トリアージ)
T:Transport(搬送)
T:Treatment(治療)
・東日本大震災時の石巻赤十字病院の初動のビデオ:記録として地震発生時からカメラを回した。のちの貴重な記録・資料となった。
・震度6弱から建物は壊れる。
・複合災害とは、災害現象が別の災害を引き起こし被害が拡大することを言う。地震によるライフラインが被害を起る場合も複合災害である。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)
災害時に危機的な状況下に置かれても、重要な業務が継続できるような方策を用意し、生き延びられるように準備する計画である。初動対応と復旧対応をいう。初動対応は許容限界以上のレベルで事業を継続し、復旧対応は許容される期間内に事業を復旧させることを言う。訓練として、CSCATTTのうち、まずはCSCAで対策本部の立ち上げと運営を行い、そしてTTTの医療支援を行う。
DCP(District Continuity Plan:地域継続計画)
災害時に地域全体で連携し、重要なライフラインや施設などを復旧・継続するための計画である。大災害では事業所単位ではなく、地域全体で協力する必要がある。
EMIS(Emergency Medical Information System:広域災害救急医療情報システム)
災害時における「適切な情報の収集・提供」を目的としたシステムである。3つの機能がある。①被災地の医療機関の状況と支援可能な全国の医療機関の情報を把握する、②DMAT派遣要請・活動状況の管理、③医療搬送患者管理機能。
G-MIS(Gathering Medical Information System:医療機関等情報支援システム)
病院の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器(人工呼吸器等)や衣料資材(マスクや防護服等)の確保状況を医療機関から報告を受けて、一元的に把握・支援するために厚労省が運営するシステム。
沖縄本島近海で起こりうる地震
今後、沖縄における大規模な地震は、本島中南部スラブ内地震および本島南東沖地震がある。その備えとして、自助(個人と家族を守る)、共助(自治会、自主防災組織および事業者)、そして公助(行政レベル)があり、平時から防災意識を持ち、避難グッズの準備やハザードマップの確認等、地域防災力を強化することが大切である。
大規模災害に備えて、今後も職員の防災意識を高め、訓練を繰り返し、病院全体で連携して来る災害に備えることが大変重要である。皆さん、頑張りましょう。
西崎病院 院長 山城清二
合同研究発表会特別講演会場の様子
演者:土屋洋之先生
座長:名嘉栄勝理事長
講演後、土屋先生を囲んで