3月18日に南部糖尿病ネットワークの勉強会②をしました。
備忘録のついでに、内容をまとめてみます。なるべく正しい情報にしているつもりですが、他の文献なども参照ください。突っ込みどころがあればよろしくおねがいします。
今回は、琉大の皮膚科の先生方にお願いしました。生活習慣病の医者ではなかなか聞くことのできない話で、大変勉強になりました。
糖尿病診療で遭遇する皮膚病アップデート
琉球大学医学研究科 皮膚病態制御学講座 講師山口さやか先生
DPP4阻害薬で誘発される水疱症
初めは難治性の湿疹、やがてキンマンした水疱がでてくる。
水疱をみると、皮膚のドコで亀裂が入っているかを診ていく。
抗BP180抗体の検査は血清・外注検査。保険適応。
薬の類天疱瘡では、BP180抗体が初めは陰性、時間が経つと陽性になる。
DPP4阻害薬関連の類天疱瘡の特徴
- 炎症(紅斑、膨疹)が軽い。
- 病理で好酸球が少ない。
- DPP4阻害薬関連の水疱性類天疱瘡の9割が特定のHLAを持つ。
DPP4の患者さんで、かゆい、びらん、水疱ができたら水疱性類天疱瘡を疑って。原則は薬の中止。
足白癬
- 角化型白癬は見逃されやすい。
- 抗真菌薬はかぶれやすい。特に市販のやつ。
- 何回もたむしを繰り返すヒトは、足白癬がある場合が多い。このときは、上も下も全部治療。
爪白癬 10人に1人
- 近位爪下型 糖尿病や免疫不全患者を疑う。
- 爪白癬に似ていても、爪乾癬、マニキュアのかぶれ、円形脱毛症の爪病変の時もあるので、注意。掌蹠膿疱症や爪扁平苔癬の場合も。疑ったら、菌鏡検。KOH法。
- カンジダの場合もある。薬が違います。
- カンジダ性爪囲炎:女性に多い。水仕事。イトリゾールの内服が必要。
爪白癬・爪カンジダの内服治療は4~6割。ネイリン(3ヶ月内服)という新薬が去年出た。肝機能障害はやはり注意、採血。内服後半年~9ヶ月は休薬し、再発したらまた内服。
クレナフィン、ルコナックなど外用薬もある。1日1回塗って、1~2年かかる。
爪以外の皮膚につくとかぶれる。注意。
アタマジラミ(吸血で生きる)
耳の後ろが暖かいので卵を産みやすい。
規制して1ヶ月ほどでかゆみが出現。頭同士の直接接触で感染や衣服・器具を介する間接的接触で伝染る。
子供とお母さんがかかりやすい。
スミスリンが治療薬!日本では唯一。フェノトリンというピレスロイド系殺虫剤。蚊取り線香の成分と同じ。昆虫への神経毒。哺乳類への毒性はない。
沖縄ではこれに耐性化したアタマジラミが流行している。というか、抵抗性アタマジラミがほとんど!!
世界では、フェノトリンを使っている地域に耐性化が報告されている。韓国ではフェノトリンを使っていないので耐性化はゼロ。
アタマジラミ沖縄での実質的な治療法
- 専用ぐしで除去。金属製の目の細かいくし。毎日10~15分、全体を梳く。
- 可能な限り髪を短くし、きれいに髪を洗い、くしを通りやすくする。
- 卵は簡単に除去できるが、中隊の除去は困難。
2018年5月
スミスリンプレミアムというのが出て、抵抗性アタマジラミに効く、と金鳥は言っているが???
www.okinawatimes.co.jp/articles/-/278343
ほかは
イベルメクチン内服。CDCでは抵抗性アタマジラミの治療として記載されている。が、日本では保険適応ではない。。。。
イベルメクチンのローション剤もあるが、まだ日本ではない。1本3万円。科研製薬が開発を始めたらしい。
ジメチコンの塗り薬、いわゆるガスコン。シリコンが昆虫の気門を閉塞させる。
LiceMDという商品名。
www.amazon.com/LiceMD-Head-Lice-Treatment-Kit/dp/B0010Y5EV0
皮膚科の最近のトピック
- 生物学的製剤:乾癬、掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹。
(結核、肝炎ウイルスは注意。カンジダも)
化膿性汗腺炎=慢性膿皮症
ニキビのようなもの、だが悪化時は痛みが強く膿がでる。だんだん硬くなって最後は外科的に切除したりする。沖縄に多いがバイオ製剤でかなり良くなってきた。
去年10年ぶりにデュピクセントというアトピー性皮膚炎の薬がでた。皮下注/2W。副作用が殆ど無いのでよいが、高い!
JAK阻害薬もかなり有望。白斑や自己免疫性脱毛症に期待。