
医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会 合同研究発表会のお知らせ 11月10日
2019年10月11日

2019年10月11日
2019年7月19日
「高血糖緊急症を考える」
国立病院機構熊本医療センター 糖尿病内分泌内科
西川武志先生
西川先生は、私が熊本大学での師匠で、ミトコンドリアと糖尿病の研究で有名です。今回は、糖尿病ケトアシドーシスや(DKA)や、高血糖高浸透圧症候群(HHS)という、実臨床に即したお話をしていただきました。教科書やガイドラインに書かれていることから、日本でまだエビデンスがなく、今調査している領域の話まで、とても勉強になりました。
復習として、教科書的な内容を備忘録として以下にまとめてみます。
※血漿浸透圧と有効浸透圧は違う!
2つの溶液間での相対的な浸透圧活性、水の移動を起こす力を有効浸透圧、または張度という。尿素やアルコールは浸透圧に寄与しうるが、細胞膜を自由に通過しうるので、細胞内液と細胞外液感の浸透圧さを生じさせない。(静脈経腸栄養 Vol.24 No.3 2009 27(769))
ついでに
※偽性低ナトリウム血症
血糖値の上昇100に対してNaは+2として考える。ざっくりですが。補正しましょう。
4.DKAとHHSが混ざったような症例もあるようだ。ジョスリンにかかれている。
5.ソフトドリンクケトアシドーシス:2型糖尿病患者が糖を含むドリンクで、血糖がどんどん上がる悪循環から、著しい高血糖とケトアシドーシスをきたす病態。欧米白人での症例報告は殆ど見られない。
6.DKAは胃腸症状が出るので、腸炎などと初診されてしまうことがある。体重減少や血糖チェックをするとわかる。
7.Ketosis-prone type3 diabetes(ケトーシスになりやすい2型糖尿病)KPDが、意外にいるかもしれない。
8.正常血糖ケトアシドーシス:血糖値が300以下で、HCO3 10以下の状態。軽いケトアシドーシスというイメージ。SGLT2阻害薬によるDKAはこれの特徴を持つことが多い。2型でもなるし、1型でもなる。
SGLTによる正常血糖DKAは内服開始すぐに出ることが多い。SGLTを内服中は、尿ケトンをチェックし、陽性の場合はアシドーシスになっていないかチェックすべき。特に全身倦怠や悪心嘔吐がある場合は注意。
9.抗PD-1抗体薬による劇症1型糖尿病に注意。あっという間に上がるので、血糖値が高いのにA1Cが低いといって油断しない!入院して様子見ても良い。
10.高血糖緊急症は精神科疾患合併症例が多い。
高血糖緊急症の意識レベルは、pHよりも血漿浸透圧と密接な関連がある。
発症時の血漿浸透圧が320未満なら他の意識障害の原因を考えるべきである、とジョスリンに書かれている。
11.高血糖緊急症の合併症に血栓症があるようだ(これは教科書にまだ書かれていない?)。脳梗塞はもちろん、下肢の動脈血栓、静脈血栓注意。下肢痛や血小板減少、Dダイマーのモニターを。
勉強会のあとに、南部の糖尿病専門の先生方を交えて食事会をしました。医療の話はもちろん、ワインや燻製、絵の話で大いに盛り上がりました。オレンジワイン美味しかった!
2019年7月9日
日本透析医学界学術集会に参加、発表しました。
毎年、透析学会では注目する話題がありますが、今年はHIV透析患者の受け入れについての発表が多いと感じました。HIV感染では腎症を起こす頻度が高く透析導入の方が多いとのことです。感染についての正しい知識をスタッフへ提供しないといけないと感じました。
ポスター部門では、台風による災害関連に興味を持ち見て回りました。昨年、糸満市にある当院でも48時間以上の停電を経験し、また近隣の透析施設が他施設へ依頼透析をするというやりとりも経験しました。現在、当院院長を中心にした沖縄県南部地区透析施設での災害時マニュアル作成に携わり、初版が配布されたばかりです。まだまだ見直しが必要かと思いますが、透析スタッフが行動を取りやすいようにマニュアル改定に取り組んでいきたいと思います。
シャントマッサージのポスター発表がありましたが、マッサージをすることでPTAをする期間が延長しているとのことでした。西崎病院でも3ヶ月おきにPTAを実施している患者さんがいます。シャント保存に有効なら患者さんの負担も軽減できるのではと感じました。毎回、透析学会へ参加し、全国のいろいろな取り組みに触れ、新たな気持ちになることができます。また、自施設のやっていることが全国レベルにもひけを取らないことがわかり自施設のスタッフへ自信を持って指導にあたることができて幸せに感じます。