西崎病院ブログ

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糖尿病 腎臓 血圧

腎臓を守るために⑨

腎臓保護にもっとも効果のある治療は? ずばり、「血圧を下げる」です。血糖値やコレステロールも大事ですが、腎保護に一番効果があるのは血圧コントロールです。 血圧を下げていくと、尿たんぱくが出なくなり、eGFRも改善していく人も多くいます。 血… 続く

腎臓保護にもっとも効果のある治療は?

ずばり、「血圧を下げる」です。血糖値やコレステロールも大事ですが、腎保護に一番効果があるのは血圧コントロールです。
血圧を下げていくと、尿たんぱくが出なくなり、eGFRも改善していく人も多くいます。

血圧の目標は130/80未満です。上の血圧が120台を目標!!と覚えてください。下の血圧よりも上の血圧が大事です。

お年寄りや少し弱ってきた方は無理のない範囲で血圧を下げます。ふらつきなどが出たら下げ過ぎかもしれません。医者に相談を。

血圧をキチンと下げるためにやる事
①家庭血圧を測りましょう。病院の血圧より家の血圧が病気予防に重要なことがわかっています。
②塩分を減らしましょう。1日3~6gに(塩分摂取量は尿から推定できます)。
ただし汗を多くかくときはちゃんと摂取を。
③血圧の薬をきちんと飲みましょう。(一般的にACE阻害薬、ARBという薬が腎保護では第一選択ですが、個人に合わせて処方します)

腎臓保護の基本
①血圧120台、②禁煙、③血糖(HbA1c7%未満)、④肥満の解消、が大事!!


(スタッフ向け補足)

●糖尿病を合併し、たんぱく尿があるCKD患者は、ARBやACE阻害薬が第一選択薬(併用は副作用↑なのであまりしない)。
●たんぱく尿がない患者は、カルシウム拮抗薬が第一選択(まだエビデンスははっきりせず)。
●ARB、ACEは高カリウム血症に注意。Kが5.5以上で減量、6.0以上で中止。

高血圧ガイドライン2014より
腎機能は30歳代から加齢とともに低下するが,日本の健診受診者のデータから推測される加齢によるGFRの低下は,0.3mL/分/年程度ときわめて小さいと報告されている。一方,高血圧を合併する場合は、4 8mL/分/年の低下にもなりうる。

参考 
高血圧ガイドライン2014、医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル2015

慢性腎臓病としての糖尿病

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。 腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では ○高血圧 ○糖… 続く

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。

腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では
○高血圧
○糖尿病
○メタボリックシンドローム
○非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs、痛み止め)
○1日20~30g以上のアルコール摂取。
○寝不足
○喫煙
○造影剤
などが挙げられています。

そして、腎臓を守るための総論的な方法として
○アルコール10~20g/日程度の摂取。
○インフルエンザ予防注射など感染症予防(65歳以上なら肺炎球菌ワクチンも)
○タンパク質制限食(個人に応じて慎重に)
○3~6g/日の塩分摂取
○高血圧の治療、130~140/80~90mmHgを目標に。(RA系阻害薬を中心とした降圧薬を使用)
○血糖コントロール(低血糖を避ける)
○スタチン系薬剤による資質低下療法
○腎性貧血の改善(ヘモグロビン値11g/dl以上を目標)
などをあげています。運動は良さそうだが、はっきりとしたエビデンスがまだない、となっています。
上記の項目は、一般論であり、実際には、個人の病態をきちんと診断して、治療計画を立てていくことになります。

西崎病院では土曜日午前に、腎臓内科、代謝内科(糖尿病)の専門外来を行っています。
また、日本糖尿病療養指導士、沖縄地域糖尿病療養指導士の資格をもった看護師、栄養士による糖尿病透析予防指導を行っています。

エリスリトールを薬局で5gづつ包装してもらいました。エリスリトールは0kcalの甘味料(糖アルコール)です。スティックシュガーのように使うとダイエットの助けになりそうです。吸熱するので、清涼感のある甘みです。
甘味料全般に言える事ですが、消化吸収できないので、多くとると下痢をします。キシリトールや、腎障害の患者さんで下剤としてつかうラクツロースと同じですね。
業務用食材屋さんで売っているようですが、通販が便利です。外来にありますので、興味ある方は山城まで。
西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

糖尿病・健康長寿教室シリーズ 腎症があるときの食事の考え方(透析予防、患者向け)

腎臓の状態に応じて、食事療法はガラリと変わります。 腎臓を守るために、食事療法はとても重要です。腎臓が悪くなってくると食事療法が少し難しくなります。簡単にいうと以下のようになります。 ★糖尿病腎症2期:尿たんぱく(-)、尿中微量アルブミン3… 続く

腎臓の状態に応じて、食事療法はガラリと変わります。

腎臓を守るために、食事療法はとても重要です。腎臓が悪くなってくると食事療法が少し難しくなります。簡単にいうと以下のようになります。

★糖尿病腎症2期:尿たんぱく(-)、尿中微量アルブミン30以上の時。
炭水化物はやや少なめ、脂肪、たんぱく質はバランスよく。
      ↓
★糖尿病腎症3期:尿たんぱく(±)以上出ているとき。
2期と4期の間の食べ方。
      ↓
★糖尿病腎症4期:eGFRが30未満のとき
炭水化物、脂肪は多めに、たんぱく質は少なめに。
(実際にどんな食事療法になるかは人それぞれですので、栄養士に相談を!)

特に腎症4期になると、今までと逆に、糖分、脂質を多めにとる食事療法になります。これには理由があります。
腎臓はフィルターの役割をしています。細かな血管が網の目の様にたくさんあり、その血管が壊れて破れてしまうと、尿たんぱくが漏れてきます。ですから、尿たんぱくが(+)というのは、腎臓が今現在壊れています、ということを表しています。しかも、尿たんぱく自体がフィルターをさらに壊してしまいます。
ですから、尿たんぱくが出ないような治療をするのが大事です。そのために食事のたんぱく質を減らし、代わりに糖分、脂質を多くするのです。

他に大事なこと
●血中カリウムが高くなる人は、カリウムも減らす。
(生野菜、生果物を控える。茹でて茹で汁を捨てるとカリウムは抜けます)
●塩分は1日6g以下を目標に!
●肥満の人は少しダイエットを。ふつう~やせ型の人は少し多めのカロリーを。

炭水化物は低GI(グリセミックインデックス)のものがおススメ。
脂肪は植物性、常温でも液体、新鮮なものがおススメ。

腎臓を守る食事療法は難しいので、栄養士、糖尿病療養指導士と話しながら覚えるのが良いでしょう。

西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

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