5/14に南部医師会館でNDNが行われました。今回のテーマは肝臓です。琉大の山川房江先生、前城達次先生のとてもわかりやすい話で勉強になりました。ありがとうございました。
講演会メモです。(知識の自己消化用なので違うことを書いているかも知れません)
脂肪肝は予防できる。~琉球大学医学部附属病院における栄養指導~肝臓に優しい食事教えます~
琉大病院 栄養管理部 副部長 山川房江先生
- 琉大の肝疾患栄養指導の平均年齢は約50歳。BMIは25~30が多い。
- BMIが30を超えると脂肪肝発症率80%。
- 栄養指導の個人指導では、Inbodyで体組成の測定をするようになった。
- 正常の肝臓には3~5%の中性脂肪が蓄えられている。30%以上だと脂肪肝になる。
- NASHになぜなるの?
・高インスリン血症、活性酸素、鉄の蓄積→これらを改善することが大事。
・摂取不足がNAFLD発症の危険因子のもの:魚類・ω3系脂肪酸、食物繊維。
・腸内細菌もNASH/NAFLD悪化と関連しているかも。
・低カロリー食では、摂取量の適正化を優先、比率では脂質を減らすこと。
- 体脂肪1kg≒7000kcal、コンビニのツナマヨおにぎり30個分!
- 米の適正な量の目安として、両手でまるく茶碗型を作って、すりきり量くらいのご飯であれば、だいたい本人の適正量。(1回はちゃんと計量して確認しましょう)
- 魚介類接種第一位:青森県37376g。沖縄県は最下位 20499g。
- トランス脂肪酸は肝細胞のアポトーシスを促進させる。クッキーのサクサク成分(ショートニング)に多いですね。
- 一般野菜の抗酸化活性(100gあたり)が多いのは、ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜、水菜など。
- 野菜は1日350g以上食べるのが理想。だがなかなか現実は。。。。
- 玄米は白米の12倍のビタミンEが含まれている。
- 食物繊維の多い食事をゆっくり食べましょう。満腹感がよく出る。
- 鉄過剰は肝臓に良くない。
・コツ:レバー・青魚・血合い部分・海藻類を控える。
生活習慣病関連の肝疾患
琉大病院 第一内科 特命講師 前城達次先生
- 沖縄の肝硬変の原因は4割がアルコール(日本の平均は13.6%)。琉大でも5~6割。
- 九州肝癌研究会の調べでは、おそらく2017年には肝がんの原因トップがC型からnonB,Cになるだろう。
- 沖縄のHBVは大人しい遺伝子型が多い、HCV感染者も少ないので、肝がん死亡率はまだ低いが、今後はアルコール性肝硬変からの肝がん死が増えそう。
- アルコールの吸収は胃が20%、小腸が80%。空腹で飲むとイッキに小腸に行くので良くない。
- AUDITスコア(飲酒習慣スクリーニング検査)というのがある。15点以上はヤバイ飲み方している。沖縄は若い男女がヤバイが、50代以上の女性は全国平均より良い。
- 未成年の飲酒経験は減ってきている。
- ある程度の患者さんは断酒することで肝臓の働きは戻る。しかし進行してしまうと戻れないどころか、進行が止まらなくなる。
- どこで断酒すれば大丈夫か?わからない。やめるなら今!
- 断酒しても、1~2年はいろいろ病気が出てくる。その期間を頑張ればなんとか生き残れる。
- 少ない1回飲酒量では1週間あたりの回数に関係ない。
- 1回飲酒量が多くても週に1~2回程度であれば大丈夫かも?
- 「飲酒しなくても大丈夫」という感覚を自覚すること!
- NAFLD/NASHの原因として、以前はtwo hit tyeoryと言われていたが、最近はもっと複雑だということで、multiple parallel hit theoryとか言われている。
- ガイドラインに載っている改善させそうな薬物はビタミンE(ユベラとか),ピオグリタゾン、スタチン、エゼミチブ、ARB。
- 体重を減らすと、肝線維化も良くなる可能性がある!
- NAFLDの人が肝硬変まで進むのは5%。メタボ関連の病気、心疾患とかがやはり多い。
●生活習慣病の患者で肝疾患の危険な群をどう見分けるか。炎症:ALT。
線維化:FIB4indexの1.45がボーダーライン。AST、ALT、血小板、年齢から出す。
・糖質制限は長期的には効果が乏しいかな。糖質が多すぎるなら原料を。
・運動をしっかりと!有酸素運動、レジスタンス運動で脂肪を燃やす。
- サルコペニアに関して、ミオスタチンが筋委縮を誘導する。
- アンモニア代謝の際に、ミオスタチンが産生される→肝硬変の人はミオスタチンが高い。
- ミオスタチンが高いと生命予後が悪い。
- 肝疾患患者には、Inbodyなどでサルコペニアをチェックして行きたい。
www.kanzogenki.jp/
日本内科学会雑誌 105 巻 1 号より
Pharmacological management of nonalcoholic fatty liver diseaseより
www.metabolismjournal.com/article/S0026-0495(16)30008-7/fulltext#t0005
西崎病院 内科:山城 武司