西崎病院ブログ

西崎病院ブログ

健康寿命 生活習慣病 糖尿病

2016年6月24日 西崎糖尿病・健康教室(2)「糖尿病の種類、しくみについて」

健康教室は偶数月の第4金曜日、13:15~ 西崎病院外来待合室で行っていく予定です。 次回は8月26日、内容は「科学的根拠のあるダイエット」あたりにしようかと思っています。 スタッフ向けに糖尿病の基礎用語の説明も行いました。7月に沖縄県地域… 続く

健康教室は偶数月の第4金曜日、13:15~ 西崎病院外来待合室で行っていく予定です。
次回は8月26日、内容は「科学的根拠のあるダイエット」あたりにしようかと思っています。

スタッフ向けに糖尿病の基礎用語の説明も行いました。7月に沖縄県地域糖尿病療養指導士の講習会があるので、それの予習も兼ねてです。

糖尿病の定義(診断方法)
•空腹時血糖値(FBS)126mg/dl以上
•随時血糖値or75gブドウ糖負荷2時間後で200mg/dl以上
•HbA1c 6.5%以上
上記のいずれかの検査結果が見られた場合に「糖尿病型」と診断する。
これらが別々の日に2回以上認められるか、口渇・多飲・多尿・体重減少など糖尿病の典型的な症状、確実な糖尿病網膜症が認められた場合に「糖尿病」と診断する。


糖尿病の治療目標
健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、健康な人と変わらない寿命の確保が目標。
•HbA1c7%未満が標準目標。余命短、認知症、ADL低下などの時は8~8.5%未満を目標に。
•空腹時血糖130、食後2時間で180未満を目標にするとだいたいHbA1c7%未満になる。
•そのほか、体重、血圧、脂質のコントロールも!


糖尿病に関する最低限のキーワード
• 血糖値(血中のブドウ糖濃度、空腹時で126以上、食後で200以上が糖尿病)
• HbA1c(1~2ヶ月の平均血糖の指標、6.5%以上が糖尿病)
• インスリン(血糖を下げる唯一のホルモン)
• 膵臓(インスリンを出す臓器)
• 低血糖発作(血糖値が60以下。異常な空腹感、動悸、ふるえなどが出現。吸収の良い糖分を取りましょう)
• 炭水化物1g4kcal、タンパク質1g4kcal、脂質1g9kcal
• 合併症(糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症(し・め・じ)、その他に脳梗塞、心筋梗塞、足壊疽など)。
• シックデイ(糖尿病患者が嘔吐下痢や発熱で食事が取れない時。薬やインスリン、血糖値の調節が必要なので早めの病院受診を!)

2016年6月24日西崎糖尿病・健康教室(1)「糖尿病の種類、しくみについて」

今回は、「糖尿病の種類、しくみについて」という題です。 外来のテレビを使ってプレゼンをしたのですが、ちょうどイギリスがEUから離脱するかどうかの中継がされている最中で、少し申し訳ない気もしましたが。。。 スライドの一部を掲載します。わかりや… 続く

今回は、「糖尿病の種類、しくみについて」という題です。
外来のテレビを使ってプレゼンをしたのですが、ちょうどイギリスがEUから離脱するかどうかの中継がされている最中で、少し申し訳ない気もしましたが。。。

スライドの一部を掲載します。わかりやすくするためにざっくりとした表現です。

糖尿病合併症を防ぐために。
•糖尿病をきちんと治療することが大事です。
• しかし、糖尿病にはいろいろな種類があり、治療法も変わります。
• 自分の糖尿病の種類に合わない治療をしても、うまくいかないばかりか、かえって体に悪いこともあります。
•ですから、自分の糖尿病が、どのような種類かを知ることはとても大事です。

糖尿病の種類
•1型糖尿病
•2型糖尿病
•二次性糖尿病
•妊娠糖尿病
大きく分けると、以下のようになります。ほとんどの糖尿病は、2型糖尿病です。

インスリンとは?
•インスリンとは、血糖値を下げるホルモンのことです。
•膵臓という内蔵から出ています。
•インスリンが、出なくなったら血糖がどんどん上がってしまいます。
•インスリンが出ていても、体が反応しなくなれば、やはり血糖は上がってしまいます。
• 教科書の記載:糖尿病とは、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群。

•1型糖尿病
• すい臓が壊れ、インスリンが出なくなってしまい、糖尿病になります。
• 子供に突然起こる糖尿病はこれです。
• 食事や運動をしても根本的には治りません。
• インスリン補給の注射をすることが唯一の治療です。

•二次性糖尿病
• 病気や、飲み薬の副作用で起こる糖尿病です。
• もとの病気を治すことが、治療になります。
• もとの病気が治せない時は、糖尿病に対する治療もします。

•妊娠糖尿病
• 妊娠した時だけに、妊婦さんに糖尿病がでることがあります。
• 妊娠中に糖尿病になると、母体も赤ちゃんも危険が高まります。
• 赤ちゃんのためにも、普通の糖尿病より、厳しい治療をします。

•2型糖尿病
• 普通、糖尿病といえば、これです。
• 食べ過ぎや運動不足で、インスリンの効きが悪くなったり、出にくくなったりして、血糖値が上がります。
• 2型糖尿病もまた2つのタイプに分かれます。

2型糖尿病のタイプ
•インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がるタイプ(インスリン抵抗性型)
• 食事を取ると血糖値が上がりますが、すい臓からインスリンが出て、血糖値は下がります。
• ところが、ずっと食べている人は、血糖を下げるために、ずっとインスリンが出続けることになります。
• すると、体はインスリンに慣れてしまい、反応しなくなってしまいます。酒をずっと飲み続けると、ちょっとのことでは酔わなくなるのといっしょです。
• インスリンの効きが悪くなると、血糖は上がってしまいます。
• このタイプの糖尿病の人は、太っていることが多いです。
• 生活習慣を良くして、やせればかなり糖尿病は良くなります。
• 正常になってしまう人もいます。
• 飲み薬は、インスリンの効きを良くする薬を使います。
• このタイプの方は、とにかくやせることが大事です。


2型糖尿病のタイプ
• インスリンの出が悪くなり、血糖値が上がるタイプ(インスリン分泌不全型)
• 食べ過ぎや運動不足で、ずっと血糖があがりっぱなしだと、インスリンを出すすい臓が疲れてしまい、出し切れなくなる人がいます。
• そうなると、インスリンの出が悪くなり、血糖値は下がらなくなってしまいます。
• 疲れたすい臓を、ずっと働かせていると、最終的には過労死し、一滴もインスリンが出なくなってしまいます。そうなれば、インスリン注射をしなければ死んでしまう体になってしまいます。
• このタイプの糖尿病はやせているのに糖尿病の人に多いです。
• 治療の方針は、疲れたすい臓を過労死させないことが主体です。
• 残念ながら、このタイプの人は生活習慣を良くしても、血糖値は下がりにくいです。
• しかし、血糖値の急激に上がりにくい食事を選んだり、食後1時間くらいに運動をすることが、すい臓を保護します。
• このタイプの方は、自分に合った飲み薬やインスリン注射をすることが大事です。


まとめ
•糖尿病のタイプによって、治療の方法が違う。
•自分の糖尿病のタイプを知り、自分に合った糖尿病の治療をしましょう。

糖尿病を治療すると
•糖尿病の合併症は、予防できることが分かっています。
•寿命も健康な人に近づいていくことも分かっています。
•例え、薬を飲むだけでも(生活習慣はそのままでも)、合併症は予防できることがわかっています。
•ぜひ、糖尿病の方は治療をしましょう。

健康教室は偶数月の第4金曜日、13:15~ 西崎病院外来待合室で行っていく予定です。
次回は8月26日、内容は「科学的根拠のあるダイエット」あたりにしようかと思っています。

慢性腎臓病としての糖尿病

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。 腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では ○高血圧 ○糖… 続く

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。

腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では
○高血圧
○糖尿病
○メタボリックシンドローム
○非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs、痛み止め)
○1日20~30g以上のアルコール摂取。
○寝不足
○喫煙
○造影剤
などが挙げられています。

そして、腎臓を守るための総論的な方法として
○アルコール10~20g/日程度の摂取。
○インフルエンザ予防注射など感染症予防(65歳以上なら肺炎球菌ワクチンも)
○タンパク質制限食(個人に応じて慎重に)
○3~6g/日の塩分摂取
○高血圧の治療、130~140/80~90mmHgを目標に。(RA系阻害薬を中心とした降圧薬を使用)
○血糖コントロール(低血糖を避ける)
○スタチン系薬剤による資質低下療法
○腎性貧血の改善(ヘモグロビン値11g/dl以上を目標)
などをあげています。運動は良さそうだが、はっきりとしたエビデンスがまだない、となっています。
上記の項目は、一般論であり、実際には、個人の病態をきちんと診断して、治療計画を立てていくことになります。

西崎病院では土曜日午前に、腎臓内科、代謝内科(糖尿病)の専門外来を行っています。
また、日本糖尿病療養指導士、沖縄地域糖尿病療養指導士の資格をもった看護師、栄養士による糖尿病透析予防指導を行っています。

エリスリトールを薬局で5gづつ包装してもらいました。エリスリトールは0kcalの甘味料(糖アルコール)です。スティックシュガーのように使うとダイエットの助けになりそうです。吸熱するので、清涼感のある甘みです。
甘味料全般に言える事ですが、消化吸収できないので、多くとると下痢をします。キシリトールや、腎障害の患者さんで下剤としてつかうラクツロースと同じですね。
業務用食材屋さんで売っているようですが、通販が便利です。外来にありますので、興味ある方は山城まで。
西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

カテゴリー