西崎病院ブログ

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合同研究発表会 糸満市 西崎病院 西﨑病院 糸満市座波371-1 098-992-0055

第24回  医療法人以和貴会・社会福祉法人以和貴会  合同研究発表会

日程:令和6128日(日) 9001700 

場所:介護老人保健施設 サクラビア 2F 糸満市字座波371-1

上記日程にて、合同研究発表会を開催いたしました。

法人職員による口述演題、パラマウントベッド様による企業セミナー、県立南部医療センター・こども医療センター救急科副部長である土屋 洋之(つちや ひろゆき)先生をお招きしての特別演題など充実した発表会となりました。

【大会長 名嘉 紀勝(特別養護老人ホーム朝日の家 施設長)より】

医療法人以和貴会、社会福祉法人以和貴会併せて、20を超える事業所があります。大勢の職員がおり、様々な職種、職能があります。職員それぞれの日頃、取り組んでいる課題や問題。各々が目指している目標やその実現のための取り組み、過程。ぜひ、この会を通して、発表や公表をしてください。そこから、医療サービス、利用者満足度を上げていく様に切磋琢磨になることを願っています。参加した皆で、知りえた知識・情報をこれからのサービスに活かしていきましょう。

【口述発表(14演題)】

<セッション1>

・血液透析患者のシャント管理におけるエコー下穿刺の有用性

・データで見る 西崎病院

・医療機関とヤングケアラー~気づいて、踏み込もう!家族支援~

・がん終末期の方の支援に携わって見えてきたこと

 

<セッション2> 

・リフトを使用した筋緊張緩和効果の検証

・障害者施設における言語聴覚士の役割~肺炎予防と食支援~

・透析後疲労感・運動意欲低下に対するアプローチ~音楽鑑賞を用いて~

・臨床実習成果に影響を与える要因分析

 

<セッション3>

・西崎病院活性化プロジェクト2024

・眠りSCAN導入後の活用方法

・医薬品不足に対する薬局の取り組み~品質不正問題~

・日中活動の効果~睡眠向上の取り組み~

・西崎病院透析室の災害対策

・パンデミックから学ぶ地域連携型BCP

【口述発表の様子】

透析時、シャントへの穿刺にエコー機器を使用することで、穿刺ミスや刺し直しによる患者の苦痛を減らすことができるようになった成果を報告した演題。

(演題名:血液透析患者のシャント管理におけるエコー下穿刺の有用性)

移乗用リフトを利用し揺すり運動することにより、四肢緊張の強い患者様の緊張軽減が図れないかを検証した演題。(演題名:リフトを使用した筋緊張緩和効果の検証)

当法人の施設や病棟でも活用の始まっている「眠りSCAN」の活用を報告した2演題。

(演題名:眠りSCAN導入後の活用方法、日中活動の効果~睡眠向上の取り組み~)

 

その他の演題発表風景

 

 【企業セミナー】

 パラマウントベッド様による、当法人で導入している「眠りSCAN」についての講演

【特別講演】

今年1月に起こった能登半島地震ではDMATとして参加され、過去には2011年の東日本大震災などでも救援活動に参加された県立南部医療センター・こども医療センター救急科副部長 土屋 洋之(つちや ひろゆき)先生に、「大規模災害時、病院はどうなる?~その日のためにBCP~」というテーマで災害時に備えて、病院やその職員がどのような意識や準備をしていく必要があるかを講演していただきました。

【口述発表 最終結果】

最優秀賞

演題名:医療機関とヤングケアラー~気づいて、踏み込もう!家族支援~

発表者:眞壁 政也(西崎病院 地域連携室 社会福祉士)

優秀賞

演題名:眠りSCAN導入後の活用方法

発表者:枝川 豊(朝日の家 養護課)

理事長特別賞

演題名:臨床実習成果に影響を与える要因分析

発表者:前川 猛(介護老人保健施設サクラビア リハビリテーション課 理学療法士)

 

報告・文責:第24回合同研究発表会実行委員会

実行委員長 座安 隆裕

第24回以和貴会合同研究発表会特別講演

大規模災害時、病院はどうなる? ~その日のためにBCP

 2024128日の第24回以和貴会合同研究発表会にて、土屋洋之先生(南部医療センター・こども医療センター救急科副部長)に特別講演をしていただきました。2011年の東日本大震災時の石巻赤十字病院で経験等、災害医療について大変貴重な講演でした。特に講演の中での災害時の基本的な考え方は職員全員が共有すべき内容でしたので、箇条書きにまとめてみました。

 災害医療の実践の7つ基本:CSCATTT

管理・運営

CCommand and Control(指揮と連携)

SSafety(安全確保)

CCommunication(情報収集伝達)

AAssessment(評価)

医療支援

TTriage(トリアージ)

TTransport(搬送)

TTreatment(治療)

 

・東日本大震災時の石巻赤十字病院の初動のビデオ:記録として地震発生時からカメラを回した。のちの貴重な記録・資料となった。

震度6弱から建物は壊れる。

複合災害とは、災害現象が別の災害を引き起こし被害が拡大することを言う。地震によるライフラインが被害を起る場合も複合災害である。

 

BCPBusiness Continuity Plan:事業継続計画)

災害時に危機的な状況下に置かれても、重要な業務が継続できるような方策を用意し、生き延びられるように準備する計画である。初動対応と復旧対応をいう。初動対応は許容限界以上のレベルで事業を継続し、復旧対応は許容される期間内に事業を復旧させることを言う。訓練として、CSCATTTのうち、まずはCSCA対策本部の立ち上げと運営を行い、そしてTTT医療支援を行う。

 

DCPDistrict Continuity Plan:地域継続計画)

災害時に地域全体で連携し、重要なライフラインや施設などを復旧・継続するための計画である。大災害では事業所単位ではなく、地域全体で協力する必要がある。

 

EMISEmergency Medical Information System:広域災害救急医療情報システム)

災害時における「適切な情報の収集・提供」を目的としたシステムである。3つの機能がある。①被災地の医療機関の状況と支援可能な全国の医療機関の情報を把握する、②DMAT派遣要請・活動状況の管理、③医療搬送患者管理機能。

 

G-MISGathering Medical Information System:医療機関等情報支援システム)
病院の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器(人工呼吸器等)や衣料資材(マスクや防護服等)の確保状況を医療機関から報告を受けて、一元的に把握・支援するために厚労省が運営するシステム。

 

沖縄本島近海で起こりうる地震

今後、沖縄における大規模な地震は、本島中南部スラブ内地震および本島南東沖地震がある。その備えとして、自助(個人と家族を守る)、共助(自治会、自主防災組織および事業者)、そして公助(行政レベル)があり、平時から防災意識を持ち、避難グッズの準備やハザードマップの確認等、地域防災力を強化することが大切である。

 

大規模災害に備えて、今後も職員の防災意識を高め、訓練を繰り返し、病院全体で連携して来る災害に備えることが大変重要である。皆さん、頑張りましょう。

 

西崎病院 院長 山城清二

     合同研究発表会特別講演会場の様子 

演者:土屋洋之先生

座長:名嘉栄勝理事長

講演後、土屋先生を囲んで

 

西崎病院の活性化プロジェクト2024 第4回9月6日(金)7日(土)井階友貴先生

第4回西崎病院の活性化プロジェクト2024を開催いたしました。

第4回9月6日(金)7日(土)

講師:井階友貴先生 福井大学医学部地域プライマリケア講座(JCHO 若狭高浜病院/国保和田診療所)教授、 高浜町 健康のまちづくりプロデューサー、総務省 地域力創造アドバイザー

講演まとめ

 井階友貴先生には96日は西崎病院、7日は久米島で講演していただきました。井階先生は2008年から福井県高浜町の診療所で勤務し、診療の傍ら地域住民の健康づくりのために幅広い活動をしてきました。現在では、“まちづくり系医師”と呼ばれ、医療のみならず、地域の活性化のために、住民とともに楽しく、チャレンジングに、そして学術的に活動しています。多岐にわたる活動を紹介するには、60分から90分の講演では足りず、もっと話したかったことが沢山あったように思います。40代前半の若い医師である井階先生からは学ぶことが多く、楽しい中にも感動する内容が詰まっていました。今回も講演の内容を箇条書きでまとめてみました。

 

テーマ:

1.これからの時代に必要なつながりのある健康まちづくり(西崎病院)

2.つながりのチカラを引き出す地域共生社会づくり(久米島)

~持続可能なまちのために~

     自己紹介:2005年滋賀医大卒業後、2008年より高浜町で勤務、2009年福井大学寄付講座教員、2014-15年ハーバード大学客員研究員、2015年より高浜町健康のまちづくりプロデューサー。志向は地域医療、社会医療(健康と地域の在り方)で、高浜町のゆるキャラ「赤ふん坊や」と全国行脚。“まちづくり系医師”と呼ばれている。

    ・ひともまちも元気で、持続可能であるための実践例を、社会医学の実学教員の立場からお伝えします。

    近年のヘルスケアの変遷場所;「病院」「施設」→「地域」、視点;「医療」「介護」→「暮らし」、手段;「サービス」→「支え合い

    ・医療づくりからまちづくりへ:医療者主体の医療づくりの限界→住民主体の医療づくり→地域主体の町づくりへ

    キーワードつなぐSocial Capital)、楽しむBehavioral Economics)、動かすCommunity-Based Participatory Research 

    ソーシャル・キャピタル(Social Capital:「社会関係資本」、人々の結束により得られるもの、「信頼」「社会参加」「つきあい・交流」

    ・研究報告として、互いに信頼できる地域ほど長寿、人々の交流は週1回未満から健康リスクが高まる、“つながり”が健康に影響大、健康の決定要因のうち社会の占める割合は50%以上である、友人の種類が多いほど、歯の数が多い。

    要点その1:自由で対等な地域のつながりで、つながりに満足することなく、ひととまちを健康に!

     行動経済学:一見合理的ではない、現実的な経済活動について研究を行う学問。「直感」「感性」「無意識」「目の前の利益」「楽しさ」「かっこよさ」「美しさ」「おいしさ」等が経済活動を生む。

    ナッジ理論:自然な形で行動変容を促すようにするための理論。ナッジ(nudge)とは「軽くひじ先でつつく、背中を押す、そっと後押しする」という意味。

    要点その2直感に訴える楽しい取り組みで、多くの関心なき人を動かす

     コミュニティメンバーが研究(介入)のすべての段階に主体的に参加(Community-Based Participatory Research(地域社会参加型研究):研究者が地域のメンバーとパートナーシップをとり、一緒の取り組むこと。

    ・地域での協働の発展モデル:“かけはし”づくり=和の拡大 → “なかま”づくり=輪の拡大。

    要点その3地域のメンバーと対等な関係で問題の所在から一緒に考える

     ・これまでの活動:

    まとめ:人口減少時代の「健康のまちづくり

    1. ソーシャル・キャピタル(絆)」で健康分野も他分野も元気に
    2. とにかく皆が「楽しい」取り組み
    3. みんなで」「問題の所在から」
    4. 地域に「とにかく出る・参加する・交流する・支え合う
    5. プロデューサーによる「きっかけづくり」と住民の「主体的活動」

     

    井階先生の著書

     

    西崎病院院長 山城清二

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