西崎病院ブログ

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一時救命処置(BLS)について。

5/17日の医局抄読会は、脳外科國吉毅先生による最新の蘇生処置の話でした。4月の病院勉強会で行った内容をざっと紹介していただきました。「見て、聞いて、感じて」というのはもう古いそうです。 以下にJRC蘇生ガイドライン2015で新しく変わった… 続く

5/17日の医局抄読会は、脳外科國吉毅先生による最新の蘇生処置の話でした。4月の病院勉強会で行った内容をざっと紹介していただきました。「見て、聞いて、感じて」というのはもう古いそうです。

以下にJRC蘇生ガイドライン2015で新しく変わったポイントを抜粋しています。

一次救命処置(Basic Life Support:BLS)
-日本蘇生協議会(JRC)ガイドライン2015のポイント〜
JRC蘇生ガイドライン2015のBLSについての重要なポイント
•訓練を受けていない救助者は、119番通報をして通信指令員の指示を仰ぐ。一方、通信 指令員は訓練を受けていない救助者に対して電話で心停止を確露し、胸骨圧迫のみの CPRを指導する。
•救助者は、反応がみられず、呼吸をしていない、あるいは死戦期呼吸のある傷病者に対 してはただちに胸骨圧迫を開始する。心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、 心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨庄迫を開始する。
•心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫からCPRを開始す る。
•質の高い胸骨圧迫を行うことが重要である。胸骨庄迫の部位は胸骨の下半分とし、深さ は胸が約5cm沈むように圧迫するが、6cmを超えないようにする。1分間あたり100〜 120回のテンポで胸骨圧迫を行い、圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すため、力 がかからないようにする。胸骨圧迫の中断を最小にする。
•訓練を受けていない救助者は、胸骨圧迫のみのCPRを行う。
•救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫 と人工呼吸を30:2の比で行う。とくに小児の心停止では、人工呼吸を組み合わせた CPRを行うことが望ましい。
•人工呼吸を2回行うための胸骨圧迫の中断は10秒以内とし、胸骨圧迫比率(CPR時間 のうち、実際に胸骨圧迫を行っている時間)をできるだけ大きく、最低でも60%とす る。
•市民によるAEDプログラム普及の重要性が国際的に確認された。AEDが到着したら、す みやかに電源を入れて、電極パッドを貼付する。AEDの音声メッセージに従ってシヨッ クボタンを押し、電気シヨックを行った後は直ちに胸骨圧迫を再開する。
• CPRとAEDの使用は、救急隊など、二次救命処置(ALS)を行うことができる救助者に 引き継ぐか、呼びかけへの応答、普段通りの呼吸や目的のある仕草が出現するまで繰り返し続ける。

病院勉強会の國吉先生の手作りテキストです。500ページ超のガイドラインを簡単にまたイラスト入りにまとめています。それでも28ページある力作です。

摂食障害の救急治療とRefeeding症候群

内科学会誌の2016年4月号が「内分泌・代謝疾患の救急~初期対応のポイント~」という特集でした。少し古くなりますが、勉強がてらまとめてみようと思います。 当院でも関連のありそうな、Refeeding症候群、低血糖性昏睡、高血糖緊急症などを順… 続く

内科学会誌の2016年4月号が「内分泌・代謝疾患の救急~初期対応のポイント~」という特集でした。少し古くなりますが、勉強がてらまとめてみようと思います。
当院でも関連のありそうな、Refeeding症候群、低血糖性昏睡、高血糖緊急症などを順次まとめて行くつもりです。

食欲不振での栄養療法
●六君子湯や経腸栄養剤に含まれている中鎖脂肪酸(MCT)6g/日以上の摂取は血中グレリンを増加させ、食欲増進につながる。
●長期の栄養低下時に、IVHで栄養を開始する場合は、水分量1000ml/日、エネルギー500ml/日程度から開始し(西崎病院ではフルカリック1号が903ml、560kcal)、200~
250kcalを2,3日おきに増量。(フルカリック2号が1003ml、820kcal)
●1000kcal/日を超えると過剰栄養による肝障害などに注意。
●脂肪乳剤はリン補充のためにも週2回以上使用。(西崎病院ではイントラリポス20%、250ml、500kcal)
●必要に応じて微量元素も補充。

Refeeding症候群
●長期間の絶食などから栄養を再開したときに、水分、リン、マグネシウム、VitB1欠乏などの急激な変動が心不全や死を引き起こすことがある。
●特に低P血症が死因になる。24~72時間以内にP値が低下し1.0mg/dl以下で乳酸アシドーシスが生じる。栄養開始時に低リン血症を注意することが重要。
●予防として脂肪乳剤の投与。(西崎病院のイントラリポスでは4mmmolのリン含有(1日量の1/3~1/4)。
●経口ならアルギーナなどのリンを多く含む栄養剤も。

低ナトリウム血症(患者向け)

低ナトリウム血症をざっくり簡単に言うと、体のしお(食塩;塩化ナトリウム)の濃度が下がった状態です。体のしおの濃度は普通は一定(Na正常値:135~145mEq/l)ですが、高すぎたり低すぎたりすると、特に脳の働きが悪くなり、体の元気がなくな… 続く

低ナトリウム血症をざっくり簡単に言うと、体のしお(食塩;塩化ナトリウム)の濃度が下がった状態です。体のしおの濃度は普通は一定(Na正常値:135~145mEq/l)ですが、高すぎたり低すぎたりすると、特に脳の働きが悪くなり、体の元気がなくなり、ひどくなると意識がなくなります。

では、治療はしおをたくさん食べればよいか、というとそんな簡単ではありません。体のしおの濃度は、体の水分量と塩の量のバランスで決まります。ですから、場合によっては塩を取るのではなく、飲む水分量を減らす、という時もあります。まずは、低ナトリウムがなぜ起こったのか、原因を調べてから治療方法を決めます。

だいたい、低ナトリウムの状態は、3パターンが多いです。一つは、①体のしおを貯める能力が落ちてしまって塩が減っている状態、もう一つは②体に水が貯まりすぎてしおが薄くなった状態です。最後は③薬のせいで塩が抜ける状態です。他のパターンもありますが、大体この3パターンで分けると理解しやすいです。


①体のしおを貯める能力が落ちている場合
ヒトを含めた陸上生物は、進化の歴史上、体にしおを貯めようと頑張ってきました。抜けてしまうと困るからです。具体的には、しおを貯めるホルモンを出したり、おしっこの塩分を減らしたりして、塩分を調節しています。年を取るとそのホルモンの出が悪くなり、しおを貯めることができなくなる時があります。ホルモンの検査をして、場合によっては補充をしたりします。

②体に水が貯まり過ぎてしおが薄くなる場合
腎臓が弱ると尿の出が悪くなります。また心臓が弱っても体液の循環がうまくいかず、体に水分が貯まってしまいます。急性腎不全、心不全の時に起こりやすく、利尿薬で体の水分を抜きながら、腎臓、心臓の治療をしていきます。

③薬のせいでしおが抜ける場合
①②とも関係するのですが、薬によってしおが抜ける場合があります。代表的な物に、利尿薬があります。ARB、ACEといった高血圧の薬でも起こるときがあります。

※体内のしおに関係するホルモン
さっきも書きましたが、陸上生物は、基本的にしおを貯めようとしています。ですので、しおを貯めるホルモンはたくさんありますが、しおを抜くホルモンは臨床上では1種類しかありません。
●しおを貯めるホルモン:アルドステロン、コルチゾール、レニンなど
●しおを抜くホルモン:BNP(ANP)
●水を貯めるホルモン:バゾプレシン

このようなホルモンなどを調べながら、低ナトリウム血症の原因追求と、治療方針を考えていきます。

西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

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