西崎病院ブログ

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中性脂肪 医療講話 血糖値 貧血

8/25 13:15~西崎健康教室「生活習慣病に関する、いろいろな検査について」

採血検査の勉強がてら公開できる範囲でスライドを載せていきます。患者さん向けにかなりかみ砕いています。わかりやすさ優先です。補足は自分の勉強用。

 

 

ASTALT、γGTPともアミノ酸を作る道具(何とかダーゼというのは酵素)。通常はASTALTですが、急性肝炎やアルコール性肝障害ではASTALTとなります。

PIVKA-II:肝細胞がんのマーカーですが、本来はビタミンKが不足して働きの悪くなった凝固因子II(プロトロンビン)のこと。通常の肝臓なら正常なプロトロンビンが作られるが、肝細胞がんではPIVKA-IIが作られてしまう。ビタミンKを阻害するワーファリン内服中はプロトロンビンの代わりにPIVKA-IIが上昇します。

 

コレステロールは細胞膜やステロイドホルモンなどの原料として大事な脂質です。LDLは肝臓でコレステロールを全身に運ぶ小型トラック、HDLは全身のいらないコレステロールを肝臓に戻す軽トラック。LDLが運んでいるものがLDLコレステロール、HDLが運んでいるものがHDLコレステロールです。

脂質の多い食事をとると、LDLが血中に多くなりすぎ、血管壁(内皮)に張り付いて利用されないうちに、傷んでしまいます(酸化LDL)。すると傷んだLDLを処理するためにマクロファージが食べますが、満腹になったマクロファージ(泡沫細胞)は破裂したり、いろいろな物質を出して内皮に炎症を来します。炎症を起こした内皮は腫れ、プラークとなります。これが動脈硬化です。

中性脂肪(トリグリセリド=脂肪酸+グリセリン)は油ですからやはり血液中には溶けません。小腸で吸収された中性脂肪はキロミクロンという超巨大トラックに脂質全体ごっちゃに乗せられて全身に運ばれます。中性脂肪は肝臓でも作られますが、肝臓で作られた分はVLDLという大型トラックに乗せられ、やはり全身に運ばれます。

食事で脂質をたくさん摂るとキロミクロンがフル稼動して全身の脂肪細胞に中性脂肪を運びます。

採血で測定している中性脂肪は主に、キロミクロンやVLDLに積載されているものです。

クレアチニンは筋肉で使われた栄養(クレアチン)の老廃物です。BUNはクレアチニンの10倍程度が正常です(BUN/Crea比)。10倍以上になると、消化管出血や高タンパク食、脱水などを考えます。

低K(カリウム)になると、血糖が下がりにくくなります。低マグネシウムも血糖が下がりにくくなると言われています。

上記は、75gブドウ糖負荷試験を行った場合の血糖値、インスリン値です。75gブドウ糖負荷試験は糖尿病の他に、先端巨大症の診断でも使われます。その場合は、成長ホルモンを測定します。

赤血球は酸素を運ぶコンテナ船。そのコンテナがヘモグロビン(タンパク質)。

SPO2は赤血球の何%に酸素が乗っているか、ということ。酸素の量≒SPO2×Hb

ちなみにトランスフェリン(タンパク質)は鉄を運ぶタクシー。

TIBC(タクシー全体の供給力)=血清鉄(実車)+UIBC(空車)

透析でよく使うTSAT(トランスフェリン飽和率)は実車率。

 

酸素も、鉄も血中に直接溶けることはないので、赤血球やトランスフェリンといった運び屋に乗せられています。二酸化炭素は良く溶けるので運び屋はない。

 

血管が破れると、即座にWWFが内膜に張り付き、それが信号となって血小板がベタベタ重なって応急処置がなされる(一次止血)。

その後フィブリンの網が血小板を覆い尽くす(二次止血)。

アルブミンは栄養状態の指標でよく使われますが、本来はいろいろな物を運ぶトラック(輸送タンパク)です。

乗り物の例えだらけ。。。。

FreeStyleリブレまとめ(2017/02/20現在)

2/26にすこしプレゼンをすることになったので、リブレの症例を出そうと思います。
勉強がてらまとめてみました。
現在のところ自費で導入をしています。はやく保険適応ができるようになって欲しい。

Flash Glucose Monitoring(FGM)=FreeStyleリブレTM(アボットジャパン)
•FreeStyleリブレ(フリースタイルリブレ)
–指先穿刺なしにいつでも血糖値が測定できるシステム
–上腕背部に装着したセンサーにリーダーをかざすと現在の血糖値
(正確には間質液のグルコース濃度)が分かる。(以下血糖値と表記)
–センサー内に記憶された血糖を読み込み、リーダーにグラフとして表されるため、持続血糖測定器のような使用法が可能。
–センサーは14日間使用可能。
–指先穿刺での較正が不要。(測定範囲 40~500mg/dl)

FreeStyleリブレのコツやクセ、注意点(以下は個人的な意見込)
•まだ保険適応なので自費。
•透析、妊婦、6歳未満は禁忌。(データがない)
•MRI(わかる)、CT(!)、X線(!!)の時には外す。(データがない)
•8時間ごとにリーダーをかざさないと24時間血糖のグラフが途切れてしまう。特に夜間注意。(センサーのメモリが8時間まで)
•指先穿刺の血糖値より10分ほど遅れる。
皮下組織間質液のブドウ糖濃度の変動は中枢神経における変動をラグなく反映するとの報告も。
•初日は誤差が大きい。低めに出る?(間質液がなじむまで数日)
•センサー値を過大評価しない。おかしいときは指先穿刺を!!
•皮膚のかぶれはiPro2より少ないよう。まだ夏場は不明。

個人的な感想
1型糖尿病(+インスリン依存2型)に関して
•血糖値の推移が把握できるが、コントロールは良くならない!?(参考資料参照)
•→良くするには、カーボカウントや追加打ちが必要?
•運動や運転、睡眠前などの血糖値と傾向(今後下がりそうなのか上がりそうなのか)は簡便にチェックできる。
–低血糖は減りそう。
•本当は小児・妊娠中の糖尿病こそ、使いたい!

以下参考資料・文献

Flash Glucose-Sensing Technology as a Replacement for Blood Glucose Monitoring for the Management of Insulin-Treated Type 2 Diabetes: a Multicenter, Open-Label Randomized Controlled Trial
•強化インスリン療法の2型糖尿病224人を
FGM群とSMBG群に割り付け6か月フォロー
•無作為、非盲検化
•主要評価項目はHbA1c
•結果
–HbA1cは有意差なし、65歳以下は差あり。
–低血糖はFGM群はSMBG群に比べてほぼ半減
–満足度は有意に高値
–Diabetes Therapy February 2017, Volume 8, Issue 1, pp 55–73
•アボットの資金提供あり

Novel glucose-sensing technology and hypoglycaemia intype 1 diabetes: a multicentre, non-masked, randomized controlled trial
•1型糖尿病241人をにFGM群とSMBG群に分け6か月フォロー
•無作為、非盲検化
•主要評価項目は低血糖頻度(70mg/dl未満)
•結果
–1日を通してFGM群が低血糖が有意に減少。(SMBG群の半分近くまで減少)
–HbA1cは有意差なし
–満足度は有意に高値
–Lancet. 2016 Nov 5;388(10057):2254-2263.
•アボットの資金提供あり

日本先進糖尿病治療研究会によるCSII およびCGM に関するステートメント糖尿病57(6):403~415,2014
1)CSII 時の活用法
•CGM を用いることで以下のようなCSII 治療におけるインスリン注入量の設定が
可能となる.
•a)無自覚性低血糖の検出
•b)暁現象の存在やその開始点の検出
–時刻ごとに細かく基礎インスリン注入速度の調節を行うことができる.
•c)運動や仕事など異なる生活強度による血糖変動の検出
–異なった生活運動強度に対する基礎注入の変更,一時基礎注入レートの調節が
行える.
•d)食事時間・内容ごとに異なる血糖変動の検出
–追加インスリン量そのものの調節だけではなく,例えば高脂肪食にスクエアボーラスを用い,一時的に基礎インスリン注入速度を上げる,といった食事内容・組成に
対する追加注入パターンの調節が可能となる.
•e)患者説明への応用
–患者に実測した1 日の血糖変動パターンを図示することで理解が得られやすく,
患者教育および患者のモチベーション向上にも有用である.
2)MDI 時におけるCGM の活用法
MDI を行っている患者でも,CSII 療法の場合と同様に,以下のことが明らかになる.
a)基礎インスリン注射と夜間の低血糖,高血糖さらには暁現象の有無.
b)食事とインスリン注射のタイミング,血糖値の関連,インスリンの種類と血糖値の関連.
c)運動と血糖値変動の関連.
d)仕事や身体活動と血糖値の関連.
e)生活パターンの異なる日での血糖値の違い.
f)感染症と血糖値の関係.
g)血糖値に大きく影響しているインスリン注射手技の不確実性の発見.

この中で最も汎用されるのは,夜間の血糖をモニターし,基礎インスリンの調整,あるいは食後の血糖変動を見て追加インスリンの調整,これらの2 点である.インスリン依存
状態の症例に対する特効型インスリンアナログなどによる基礎補償においては,
0―3 時頃までの低血糖や,3 時から起床時間までの暁現象による血糖上昇が
評価できることである.また,CGM中にインスリン注射を行い,比較することによりその
インスリン手技の評価もできる.

血糖値スパイク(食後高血糖)に気をつけろ!2/5糸満市街づくりカフェ

itomansaposen.ti-da.net/e9276111.html
日時:2月5日(日)10~16時
 会場:道の駅いとまんイベント広場

血糖値スパイク(食後高血糖)に気をつけろ!

健康診断で空腹時血糖値が正常でも、食後高血糖があるとキケン!
糖尿病はまず空腹時血糖より、食後の血糖値が上がってきます。

●食後2時間の血糖値(mg/dl)が
 140未満:正常(正常な人は平均100前後、どんな時でも140未満)
 140-200:食後高血糖(糖尿病境界型)
 200以上:本物の糖尿病?医療機関に相談を。
(空腹時血糖なら110未満:正常 110-125:境界型 126-:糖尿病疑い)

食後高血糖:心筋梗塞、脳梗塞、認知症になりやすく、死亡率も高い!
血糖の低い状態と高い状態が交互に繰り返されると、血管が痛み(酸化ストレス)、動脈硬化が進行します。そのため心筋梗塞、脳梗塞、さらには網膜症も起こりやすくなります。
血糖値を下げるインスリンというホルモンがあります。高血糖になると血糖値を下げようとインスリンが多く出されます。インスリンは細胞増殖作用があり、がん細胞も増やすのではないかと考えられています。
またインスリンは多く出されすぎると、効きが悪くなり、ブドウ糖がうまく栄養として使われず、血糖値が下がりにくくなります(インスリン抵抗性増大)。脳はブドウ糖が重要な栄養源です。インスリンの効きが悪くなると、脳細胞がブドウ糖をうまく使えなくなり、認知症が進むと考えられています。もちろん動脈硬化による血流の悪化も認知症を進行させます。

血糖値スパイクはどうすればよい?

【対策1】食べる順番を「野菜」→「魚・肉」→「米・パン」に
食物線維は、水分を吸収し膨らんだりゲル状になることで、食物の粘性を上げ、消化吸収をゆっくりにし、食後高血糖を抑えます。また腸の「善玉菌」を増やし、高血糖や肥満を予防すると考えられています。
たんぱく質や脂質は、インクレチンという小腸ホルモンを分泌させます。インクレチンはグルカゴンという血糖を上げるホルモンを抑え、また胃の運動をゆっくりにして血糖の上昇を抑えます。食後1~2時間の急激な血糖上昇は緩やかになりますが、食後3~4時間の血糖は炭水化物と比べて高めになるため、空腹感を抑えることができます。
カロリーは、食物線維は0kcal/g、たんぱく質や炭水化物は4kcal/g、脂質は9kcal/gです。カロリーの取りすぎも注意しましょう。
対策2】朝ご飯をちゃんと食べる
体は絶食状態が続くと、インスリンという血糖を下げるホルモンの反応 が悪くなります。
【対策3】食後に少しだけ運動をする
運動は直接カロリーを消費して血糖を下げるだけでなく、食後に胃腸に集中する血液を筋肉にも分散させ、胃腸の運動をゆっくりにすることで食後高血糖を抑えます。
【対策4】糖質制限するなら普段の1/2~2/3に減らす
糖質制限食はまだ長期的な効果や、最適な方法が良く分かっていません。脳で1日に消費される糖質(ブドウ糖)は100g前後と言われています。少なくともそれ以上は炭水化物を摂取したほうが良いかもしれません。
その他の対策
ゆっくり食べる!
グリセミックインデックス(GI値)の低い食べ物をとる。GI値は、食品ごとに血糖の上がりやすさを数値にしたものです。例えば、白米より玄米の方がGI値が低く、血糖値が上がりにくくなります。

血糖値が気になったら、医療機関へ。ブドウ糖負荷試験をしてみましょう。(75gブドウ糖入りのサイダーを飲んで2時間後までの血糖、インスリン分泌能を測定)
糖尿病になりそうな体質の方は、糖尿病になるのを予防する内服薬もあります。

西﨑病院 糸満市座波371-1
098-992-0055
iwakikai.net/nishizaki/

参考文献、Web
NHK特集 血糖値スパイクが危ない 見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策
www.nhk.or.jp/special/kettouchi/result/index.html

食後高血糖ガイドライン2011国際糖尿病連合
www.idf.org/webdata/docs/Japanese_GMPG_Final_280308.pdf

糖尿病59 巻1 号(2016)日本糖尿病学会 特集 摂取栄養素と高血糖
www.jstage.jst.go.jp/browse/tonyobyo/59/1/_contents/-char/ja/

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