西崎病院ブログ

西崎病院ブログ

患者さんとスタッフの意識を高めるために

糖尿病患者のアドヒアランスを考える、というテーマで勉強会の話をする機会がありました。そこで、患者さんだけでなく、我々スタッフの知識や意識を高めるための方法を、勉強がてらまとめてみました。

www.facebook.com/olcde/photos/a.600811740074602.1073741828.597968367025606/790296084459499/?type=3&theater

糖尿病だけでなく、生活習慣病を治療するにあたって、大きな問題の一つが治療中断です。けがや他の病気と違って、痛くもかゆくもないのに、病院に行って薬をもらってお金を払う、というのは確かに大変だと思います。私は、よく歯医者さんと似たようなもんと話しています。痛くない時に治療しておけば、歯も守られるし医療費も安い、でも本当に痛くなってからでは、費用も時間もかかって、歯は抜かれてしまいますから。今年の冬は、結局仕事を休んで行く羽目になりました。悪い例ですが、なかなか休みづらいんですよね。下のマニュアルにも書かれています。

 

患者さんのアドヒアランス、治療継続を高めるためのエビデンスやガイドライン

 

※糖尿病受診中断対策マニュアル(H26/5)より

  • 初診の糖尿病の患者に、継続的に受診が必要であることを伝える。
  • 栄養指導、療養指導は受診中断の減少に有効である。
  • 若年者などで時間にゆとりがない場合は、可能な範囲で受診時間の融通性を高くする。
  • インスリンが残っている、残薬がある場合は、医療費が経済的に負担である可能性を考慮する。
  • 医療費が経済的に負担である場合は、より薬価の低い薬剤や後発医薬品を考慮する。
  • 薬剤を中止できそうな場合も、その後の受診中断の可能性を考慮して慎重に判断する。
  • 受診中断者への受診干渉を行う。電話、郵便物(メール、SNSも?)はいずれも同程度に有効である。
  • 受診中断者への問い合わせと受診勧奨は、医療保険者や産業医など、直接に診療に当たらない第三者も実施しうる。
  • 過去に受診中断した人には受診中断した理由を尋ねる。

dmic.ncgm.go.jp/medical/050/influenza_04.html

 

※「外来の待ち時間、診察時間、診察内容が糖尿病患者の治療満足度に関連する」
税所芳史ら、糖尿病5510):7687732012

www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/10/55_768/_pdf

 

※アメリカ糖尿病学会 Standards of medical care in diabetes 2017より抜粋

  • 新しい薬は、コストが高く、血糖降下度も中等度であり、臨床的効果が少ないこともある。
  • インスリンも近年コストが高くなっており、費用対効果も考慮すべきだ。

care.diabetesjournals.org/content/40/Supplement_1

 

※アメリカ内科学会 糖尿病経口薬ガイドライン2017より抜粋

  • メトホルミンは安価かつ、他の経口薬より効果的である。
  • 2剤目の追加で、さらなるベネフィットがあるかもしれない。しかし特に近年の薬剤では、費用対効果は良くない場合がある。

(アメリカの薬価は、加入する保険やカナダからの通販などでかなり幅がありますが、日本の薬価の何倍!もするのが通常のようです。日本が素晴らしいのか、アメリカがおかしいのか。。。)

annals.org/aim/article/2595888/oral-pharmacologic-treatment-type-2-diabetes-mellitus-clinical-practice-guideline

 

 

さらに参考(以前まとめたブログ)

nishizakihospital.ti-da.net/e8127676.html

(慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル ~栄養指導実践編 資料 CKD管理ノートより)

 

今回の発表では、沖縄メディカル病院の吉田貞夫先生のご研究成果も許可を頂いて紹介したいと思います。南部医師会報4月号に掲載された、高価なSGLT2阻害薬をうまく患者主体による内服で行うという、とても感激した研究です。

eiyou.or.jp/gakujutsu/20th/pdf/jsmcn_Vol20.Supplement_vo.pdf

(日本病態栄養学会2017 演題O-364

偶数月の第4金曜日は西崎健康教室

2017年 6月23日 (金) 午後1時15分~1時45分

西崎病院   外来待合室

薬のただしい飲み方
食間、食前っていつ?、相性の悪い薬とは?など
いろいろなことを楽しく話します。 
薬剤師 松田和之(沖縄県糖尿病療養指導士)

お気軽にコメントをどうぞ。

カテゴリー