西崎病院ブログ

西崎病院ブログ

2018年1月

勉強会リポート(歯周病、糖尿病網膜症)

1月17日に西崎病院の歯科衛生士と沖縄県糖尿病療養指導士が中部医師会の勉強会に参加してきました。その時の備忘録です。

演題1.【歯周病と関連する7つの病気】
あらさき歯科クリニック 新崎 博文先生

口腔の特殊性
1.口腔は無菌状態ではない。
2.口腔には歯が存在する。
3.口腔には唾液が存在する。
4.口腔は、摂食、嚥下、発音、呼吸などの機能に関与する。
5.口腔は、呼吸器感染症、糖尿病、心疾患など、全身疾患と深く関与する。

歯周病の病因論
歯周病とは、歯周病原細菌によって引き起こされる感染性疾患であり、歯周組織である歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨からなる歯周組織に起こる疾患をいう。

歯周病と関連の深い全身疾患
1.糖尿病
2.肥満
3.狭心症.心筋梗塞
4.誤嚥性肺炎
5.早期低体重時出産
6.骨粗鬆症
7.閉塞性血栓血管症
8.免疫.アレルギー疾患

糖尿病と歯周病の医科歯科連携の問題点
1.歯科医師の糖尿病に関する知識不足
2.医師の歯周病に関する知識の不足
3.医科と歯科の共通言語の欠如

平成19年に日本糖尿病協会歯科医登録医制度創設

糖尿病患者の歯科治療において把握しておくべき項目
1)糖尿病の病型、罹患期間
2)治療歴および治療内容
・糖尿病患者への指導
1)口腔清掃指導
2)食事指導
3)禁煙指導

糖尿病患者は、歯肉の病気になりやすく、それにより、歯を喪失しやすくなり、十分に食事がらとれなくなり、糖尿病のコントロールが難しくなる恐れあるからです。

会場からの質問
質問1.抜歯と血糖コントロールの影響は?
血糖コントロールが悪いと治癒不全になる。骨髄炎になると良くないので、血糖コントロールが良い状態の時に抜歯はした方がいいです。

演題2.【最近の糖尿病網膜症診療】
琉球大学附属病院 眼科 助教 山内 先生

1.糖尿病の眼合併症はたくさんあります。白内障、血管新生緑内障、虚血性視神経症、眼球運動障害、虹彩炎等…。
2.眼で物が見える仕組みについて説明。網膜は、多くの血管と視神経で形成されている。
3.血糖が高くなると、血管透過性圧亢進し血管閉塞になる。
4.単純糖尿病網膜症→増殖前糖尿病網膜症→増殖糖尿病網膜症。
5.眼底写真進歩している。
①散瞳しなくても撮影可能な広角眼底写真が ある(一台一千万円くらい)
②OCT(光干渉断層撮影)網膜の層は、10層あるのが見えたり、脈絡膜まで見える!視細胞障害を知る事が出来るようになった。
③OCTアンギオ、OCTで血管を抽出する。メリットは、造影検査を行わず、血管瘤を抽出する。問題点は、血管透過性限度はわからない。
6.糖尿病網膜症の治療
①単純網膜症…定期検査、血糖コントロール頑張る。
②増殖前網膜症…レーザー治療。
③増殖網膜症…レーザー治療、硝子体手術。
最近、レーザー治療では、パターンスキャンレーザーが出てきた。
7.黄斑浮腫に対する治療。
ステロイド注射、硝子体手術、レーザー治療、2014年から、抗VEGT抗体硝子体内注射があるが、3割負担でも約1回5万円、2〜3カ月に1回必要、眼内炎リスクは0.8%。

☆全身管理と網膜症、HbA1c 7%以外が目標!
腎症で黄斑浮腫がある方が、透析導入したら改善したケースがありました。また視力低下しないように脂質改善薬を積極的に使って欲しいと話されていました。

会場からの質問
質問:網膜症のある方の運動について?
患者さんからもよく聞かれますが、治療が住んである程度落ち着いた方には、運動してもいいと説明しますが、激しい運動は血圧が上がって血管が破綻するので、控えてもらってます。また、OPE後は目の安静の為、運動は控えてもらってます。

スマホで打ったそうで。素晴らしい!
www.youtube.com/watch?v=HRkNfdlm5Qs

気管切開カニューレの改良に貢献したお話

西崎病院には気管切開術を受けた患者様が多数入院しています。気管切開術は自力呼吸が弱く人工呼吸器が必要な方や、痰が多く一日に何度も痰を吸引する必要がある方に行う手術で、気管カニューレというL字型のチューブを喉に作った穴に差し込んでいます。

 

 気管カニューレには気管の中でふくらみ空気の漏れや唾液のたれ込みを防ぐバルーンという袋があり、バルーンに適正な空気が入っているかを確かめるパイロットバルーンとつながっています。

rc.rcjournal.com/content/59/6/956
(Respiratory Careという医学誌からの引用です。メーカーとは関係ありません)

 ところが一時、使用期限内なのにバルーンの圧が保てないケースが頻発しました。調べてみるとパイロットバルーンの決まった部分からの空気もれでした。どうも体が大きく咳の圧が高い方で破裂しやすかったようです。

 当院のY医師がメーカーに製品を送り調査を依頼しましたが、当初はさほど熱意が感じられませんでした。それでも根気よく依頼を続けたところメーカーも重い腰を上げ、耐圧性を3倍に高めたパイロットバルーンに改良してくれました。

 国産だからできた改良ですが、この製品は全国的に多数使用されており、日本で気管切開術を受けているすべての患者様に貢献できたと考えています。

 これからも西崎病院では安心安全な医療を提供できるようがんばります!

 ということで、Y医師の水中写真を紹介します。

「シェアハウス」(撮影地:真栄田岬)
2017年関西潜水連盟水中写真コンテスト グランプリ受賞

 

「ここヤバイ?」(撮影地:真栄田岬)
同 特別賞 受賞

 

2018年も西崎病院をよろしくお願いします。

カテゴリー