西崎病院ブログ

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2016年4月

低ナトリウム血症(患者向け)

低ナトリウム血症をざっくり簡単に言うと、体のしお(食塩;塩化ナトリウム)の濃度が下がった状態です。体のしおの濃度は普通は一定(Na正常値:135~145mEq/l)ですが、高すぎたり低すぎたりすると、特に脳の働きが悪くなり、体の元気がなくな… 続く

低ナトリウム血症をざっくり簡単に言うと、体のしお(食塩;塩化ナトリウム)の濃度が下がった状態です。体のしおの濃度は普通は一定(Na正常値:135~145mEq/l)ですが、高すぎたり低すぎたりすると、特に脳の働きが悪くなり、体の元気がなくなり、ひどくなると意識がなくなります。

では、治療はしおをたくさん食べればよいか、というとそんな簡単ではありません。体のしおの濃度は、体の水分量と塩の量のバランスで決まります。ですから、場合によっては塩を取るのではなく、飲む水分量を減らす、という時もあります。まずは、低ナトリウムがなぜ起こったのか、原因を調べてから治療方法を決めます。

だいたい、低ナトリウムの状態は、3パターンが多いです。一つは、①体のしおを貯める能力が落ちてしまって塩が減っている状態、もう一つは②体に水が貯まりすぎてしおが薄くなった状態です。最後は③薬のせいで塩が抜ける状態です。他のパターンもありますが、大体この3パターンで分けると理解しやすいです。


①体のしおを貯める能力が落ちている場合
ヒトを含めた陸上生物は、進化の歴史上、体にしおを貯めようと頑張ってきました。抜けてしまうと困るからです。具体的には、しおを貯めるホルモンを出したり、おしっこの塩分を減らしたりして、塩分を調節しています。年を取るとそのホルモンの出が悪くなり、しおを貯めることができなくなる時があります。ホルモンの検査をして、場合によっては補充をしたりします。

②体に水が貯まり過ぎてしおが薄くなる場合
腎臓が弱ると尿の出が悪くなります。また心臓が弱っても体液の循環がうまくいかず、体に水分が貯まってしまいます。急性腎不全、心不全の時に起こりやすく、利尿薬で体の水分を抜きながら、腎臓、心臓の治療をしていきます。

③薬のせいでしおが抜ける場合
①②とも関係するのですが、薬によってしおが抜ける場合があります。代表的な物に、利尿薬があります。ARB、ACEといった高血圧の薬でも起こるときがあります。

※体内のしおに関係するホルモン
さっきも書きましたが、陸上生物は、基本的にしおを貯めようとしています。ですので、しおを貯めるホルモンはたくさんありますが、しおを抜くホルモンは臨床上では1種類しかありません。
●しおを貯めるホルモン:アルドステロン、コルチゾール、レニンなど
●しおを抜くホルモン:BNP(ANP)
●水を貯めるホルモン:バゾプレシン

このようなホルモンなどを調べながら、低ナトリウム血症の原因追求と、治療方針を考えていきます。

西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

糖尿病とがん

2016年3月号の糖尿病学会誌に「糖尿病と癌に関する委員会報告 第2報」があったのでまとめてみます。 まずは第1報の復習から www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&#0… 続く

2016年3月号の糖尿病学会誌に「糖尿病と癌に関する委員会報告 第2報」があったのでまとめてみます。

まずは第1報の復習から
www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=43
●日本の疫学データでは、大腸がん、肝臓がん、すい臓がんのリスク増加、前立腺がんのリスク低下がみられる。これはADAの報告とほぼ一致しているようです。(前立腺はやはりリスク低下)
●糖尿病によるがん発生促進の目感ずむとして高インスリン血症、高血糖、炎症などが考えられる。
●糖尿病患者における食事療法、運動療法、禁煙、節酒はがんリスク減少につながる可能性がある。
●メトホルミン使用とがんリスク低下や、インスリン、ピオグリタゾン使用とがんリスク増加などの糖尿病薬と癌の関連はまだはっきりしていない。

第2報
www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/3/59_174/_article/-char/ja/
糖尿病ではがんが増えるようだ、では糖尿病を治療したらがんは減るのか?というのが第2報のテーマのようです。治療する薬によっても確率は変わってくるのかもしれません。メトホルミンやピオグリタゾンではよく話題に出ます。
しかし今のところの結論は、
●糖尿病患者で、血糖管理をすることで癌の確立が減るかどうかははっきりしない。
だそうです。

がん予防は、糖尿病かどうかに関わらず、検便、胃カメラ(ピロリチェック)、子宮頸、乳がん検診など、市町村でされているがん検診をやることが費用対効果のかなったものだと思います。病気のかかりやすさは家族歴などもありますから、その辺を考慮して他のスクリーニングを追加するのが良いでしょう。

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※画像はお借りしました

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