西崎病院ブログ

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2016年2月

医局抄読会 肺炎球菌ワクチンについて

●日本には現在2種類の肺炎球菌ワクチンあり。ニューモバックス(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン、PPSV23)とプレベナー(13価肺炎球菌結合型ワクチン、PCV13)。 ●PCV13の免疫原性はT細胞からB細胞を介して惹起され、P… 続く

●日本には現在2種類の肺炎球菌ワクチンあり。ニューモバックス(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン、PPSV23)とプレベナー(13価肺炎球菌結合型ワクチン、PCV13)。
●PCV13の免疫原性はT細胞からB細胞を介して惹起され、PPSV23のそれ(B細胞のみ)と同等もしくは優れている。

●PCV13の成人に対するエビデンスはオランダのCAPiTA試験のみ。日本ではなし。
65歳以上の高齢者において、PCV13がカバーした莢膜型が原因の市中肺炎を45.6%、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を75.0%予防。この効果は4年間持続した。しかしすべての原因による市中肺炎に対する効果及び肺炎球菌性肺炎あるいはIPDによる死亡の抑制効果は認められなかった。
www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1408544
●PPSV23の日本のエビデンスは三重での丸山Drの試験が有名。
高齢者施設入所者に対して二重盲検試験。肺炎球菌肺炎がワクチン群で63.8%減少、肺炎全体で44.8%減少。肺炎球菌肺炎による死亡は0% vs 35.1%で有意に減少。
全ての肺炎による死亡と総死亡では有意差なし。
www.bmj.com/content/340/bmj.c1004.abstract?papetoc=
●厚労省「成人の重症肺炎サーベイランス構築に関する研究」によると、2013~14年度に分離された成人の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)からの血清型のPPSV23の血清型カバー率は66.5%、PCV13は46.0%。市中肺炎の血清型カバー率はPPSV23が67%、PCV13が54%。

●PCV13接種後1~4年でPPSV23を接種すると、成人ではPCV13接種後に、13血清型ワクチン血清型特異的なメモリーB細胞が誘導され、その後のPPSV23接種により両ワクチンに共通な12血清型に対する得意交代のブースター効果が期待できる。さらにPPSV23接種によりPCV13に含まれない11血清型に対する得意抗体誘導も期待できる。1~4年以上の接種感覚を開けた場合、ブースター効果が得られるかははっきりせず。
●逆にPPSV23接種後1年以上でPCV13を接種することは可能だが、PPSV23接種後以上の免疫応答は得られない。安全性には問題がない。

●65才以上の5の倍数の年齢(100歳以上は毎年)にPPSV23の定期接種の対象となる。補助は1回のみ。再接種間隔は5年以上。

●アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の予防接種に関する諮問委員会(ACIP)の推奨(2016年版)

www.cdc.gov/vaccines/schedules/hcp/adult.html

www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6434a4.htm

●65歳以上の肺炎球菌ワクチン定期接種に関する考え方(日本呼吸器学会、日本感染症学会2015/9アップデート版)
www.jrs.or.jp/modules/information/index.php?content_id=921

日本呼吸器学会は、基本的にはアメリカの接種推奨とほぼ同じですが、PCV13に関してはエビデンスが弱いですよ、と言っているのが大きな違いです。

●上記を踏まえた、易感染性高齢者に対する効果的な肺炎球菌ワクチンの打ち方(私見)
※プレベナーをまず接種。1~4年後にニューモバックス接種。
COPDなど肺が弱い方で。最大限の予防をしたい、というなら上記でしょう。ニューモバックスの補助も受けることができます。インフルエンザ予防接種も忘れずに。
※健康な65才に対して肺炎球菌ワクチンをするのは意味がないかも。。。(もともと肺炎になりにくいため)
となるでしょうか?

当院ではプレベナーは10000円で行っています。定期接種で補助のつくニューモバックスは糸満市在住者で4000円、豊見城、八重瀬在住者で3000円、南風原はタダ!です。補助なしでは7000円です。

電子カルテのインスリン入力を少し改善しました。これまでは、医師が指示した通りのインスリンの単位しか実施入力できませんでしたが、手動で単位を入力できるようになりました。当院では1型糖尿病の方が多く、患者さんご自分で血糖をみながら打つ単位を決めている事も良くあります。これに対応できるようになりました。看護師側も少し便利になったと思います。これからも少しずつ業務改善に取り組んでいきたいと思います。

西﨑病院  糸満市座波371-1
098-992-0055

慢性腎臓病としての糖尿病

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。 腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では ○高血圧 ○糖… 続く

糖尿病からはいろいろな合併症が起こりますが、人生を変えてしまうような合併症として、網膜症(失明)、脳卒中(麻痺)、腎症(透析)、が大きいと思います。

腎臓が悪くなる生活習慣として、CKD(慢性腎臓病)ガイドライン2013では
○高血圧
○糖尿病
○メタボリックシンドローム
○非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs、痛み止め)
○1日20~30g以上のアルコール摂取。
○寝不足
○喫煙
○造影剤
などが挙げられています。

そして、腎臓を守るための総論的な方法として
○アルコール10~20g/日程度の摂取。
○インフルエンザ予防注射など感染症予防(65歳以上なら肺炎球菌ワクチンも)
○タンパク質制限食(個人に応じて慎重に)
○3~6g/日の塩分摂取
○高血圧の治療、130~140/80~90mmHgを目標に。(RA系阻害薬を中心とした降圧薬を使用)
○血糖コントロール(低血糖を避ける)
○スタチン系薬剤による資質低下療法
○腎性貧血の改善(ヘモグロビン値11g/dl以上を目標)
などをあげています。運動は良さそうだが、はっきりとしたエビデンスがまだない、となっています。
上記の項目は、一般論であり、実際には、個人の病態をきちんと診断して、治療計画を立てていくことになります。

西崎病院では土曜日午前に、腎臓内科、代謝内科(糖尿病)の専門外来を行っています。
また、日本糖尿病療養指導士、沖縄地域糖尿病療養指導士の資格をもった看護師、栄養士による糖尿病透析予防指導を行っています。

エリスリトールを薬局で5gづつ包装してもらいました。エリスリトールは0kcalの甘味料(糖アルコール)です。スティックシュガーのように使うとダイエットの助けになりそうです。吸熱するので、清涼感のある甘みです。
甘味料全般に言える事ですが、消化吸収できないので、多くとると下痢をします。キシリトールや、腎障害の患者さんで下剤としてつかうラクツロースと同じですね。
業務用食材屋さんで売っているようですが、通販が便利です。外来にありますので、興味ある方は山城まで。
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医療講話・健康講話

11月から今年の2月にかけて糸満市の各部落でお話をさせて頂きました。お集まりいただいてありがとうございました。 「健康長寿のために手抜きできること、できないこと」 内容は上記のブログで簡単にまとめています。 話をしていくにつれ、少しスライド… 続く

11月から今年の2月にかけて糸満市の各部落でお話をさせて頂きました。お集まりいただいてありがとうございました。

「健康長寿のために手抜きできること、できないこと」
内容は上記のブログで簡単にまとめています。

話をしていくにつれ、少しスライドも変更していきました。
www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/seizonritu2007.html
全がん協の10年生存率が1月末に更新され、これもスライド変更しました。やはりがん検診では、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんのチェックがおススメで、逆に前立腺がん、甲状腺がんなどは、安易に健診をしなくてもよいかも、というデータです。
www.asahi.com/articles/ASJ1M4GW3J1MULBJ00C.html
朝日新聞の記事が簡単にまとめています。正確なデータは全がん協のHPでいろいろ解析できますね。



がん健診の話では、特に若い世代の方、働き盛りの方の健診をお勧めします。胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなどは、早期に見つければ非常に治癒率は高いです。がんですから、進行してしまうと予後は厳しくなってしまいますが、これらのがんは健診で早期に見つけることができます。


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